教育福島0216号(1999年(H11)01月)-041page

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3 研修の目指すもの

このような受講者の実態から、専門研修においてより主体的、効果的に研修が進められるよう以下のような配慮をしています。

〈知識・技能の習得の場に〉

受講者は、はじめて養護教育に携わる方から長く携わっている方々まで様々ですが、養護教育に限らず、教育の基本は児童生徒理解から始まります。医療面、心理面、教育面と幅広く人材を求め、常に新しい情報の収集と確かな実践や実技を提供したいと考えています。

〈日ごろの実践を振り返る場に〉

「あの時A君が〜したのは、こういう意味があったんだ」「Bさんは本当は〜したかったのかもしれない」など、日々の実践を講義に基づいて整理し直す、見落としていた観点や理論的に弱い部分などを補強する、今後の方向性を捉え直すなど、今の自分を見つめる機会となれるよう考えています。

〈建設的に協議し、自ら実践する場に〉

一つの課題について小グループで協議する、普段ではなかなかできない教材作りをするなど、講義形式だけでなく、演習、実技、協議など受講者自らが課題意識を持ち、自ら行うことによって解決の糸口を探しだせるような内容を工夫しています。

〈情報交換の場に〉

学校種や環境が違う場合でも、同じ悩みや体験を共有する者同士が意見交換すれば、今後の指導に生きてきます。研究協議はもとより、休憩時間や昼食時などを利用し、積極的に情報交換ができれば大きな収穫になるでしょう。また、センターの所員にも気軽に声をかけていただければと思います。

 

4 受講者の感想から

ここで各専門研修講座の受講者から寄せられた感想のいくつかを紹介します。

「具体的で実際的な講義で大収穫の三日間でした。四月から肢体不自由教育に携わるようになり、自分はいったい何ができるんだろうと不安と焦りを持って過ごしてきましたが、障害児に限らずかかわる基本は変わらないと気付きました。少し自信を持って帰れそうです」(肢体不自由教育研修講座 養護学校教諭)

 

視覚・聴覚・言語障害研修講座

 

視覚・聴覚・言語障害研修講座

 

「四月から担任した学級に部分的に学習が困難な児童がいるため、この研修は大変役立ちました。これから児童にどのように接していったらよいか、また保護者にどのようにかかわり、働きかけていったらよいか、少し見通しが持てた気がします。学校へ戻ったら、早速伝達講習会を開き、他の先生方にもここで学んだことを伝えたいと考えています」(学習障害(LD)児の教育研修講座 小学校教諭)

「演習や実技などを聞くだけでなく、ディスカッションや実際にやってみて知ることができ良かった。同じ障害児を担当していたり、同じ悩みや疑問を持っていたりする先生方と話すことで、自分の中の情報や知識が広がった良い機会となりました」(障害児早期教育研修講座 保育所保母)

その他にもたくさん感想や意見、要望が寄せられています。できる限り次年度の講座に生かせるよう検討していきたいと考えています。

 

おわりに

養護教育は、子供の障害やニーズの多様化などにより盲・聾・養護学校や特殊学級だけの教育ではなく、全ての学校においてその知識や技能が必要となってきました。それだけ当センターの果たすべき役割が重要になってきたと同時に、担わなければならない責任の重さを受け止め、よりよい講座の構築が図れるように努めていきたいと思います。

 

 

 


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