教育福島0217号(1999年(H11)02月)-027page

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つめ、夢と希望のもとに進路を見い出して行けるのでしょうか。まして高い失業率、求人難で、心配は増すばかり。そこで、現役バリバリの先輩たちの話を聞かせてやろう、と親子職業講話を開催することにしました。

PTA会員のSさんはこの地区でも数少ない花井栽培専業農家です。大雨でハウスがつぶされ全滅した時の苦しみや、自分の思い通りにできた時の収穫の喜び、そして日本一になる夢を、自分で作った鉢植えを披露しながら、熱く語ってくれました。

Fさんはガソリンスタンドの経営者。多くの人を雇いながら、「仕事は人生道場」をモットーに社会教育もし、この不況のなかでも売り上げを伸ばしている方です。

「わが社の採用はあいさつがきちんとできれば合格。あいさつは人間の基本。それがしっかりしてないと何もできない。他のことは仕事をしながら身につけるよう努力すれば良いこと。ウサギはカメを目標としたが、カメは頂上を目標としたし皆さんもしっかりした目標を、と迫力あるお話でした。

Mさんは看護婦三年目の若く明るい人。弟さんが入院した時の看護婦さんに憧れたのがきっかけだそうです。「患者さんが亡くなった時、どうやって立ち直りますか」と問われ、わずかに天丼を見上げ、

「何もしてあげられない無力さに、大変苦しむ。しかし世話をしてあげられなかったその分、他の患者さんに喜んでもらえるよう頑張ります」との答えに、会場はシンとなりました。今の自分が感じたこと、やりたいことを大切に持ち続けるように、と結ばれました。

講師の皆さんの、職業に対する思いの深さに新鮮な感動を覚え、社会的閉塞感の漂う中、親と子が職業観を高め共通の理解を持つことの大切さをあらためて感じました。今、コンビニ、スーパー、自販機、通信販売、インターネット等の流通システムが人を省き、言葉を省き、人間関係をも省こうとする中、生産者と消費者、サービスを与える側と受ける側の人間関係構築の中に、真の職業意識が見えて来るのではないでしょうか。

(東白川郡PTA連合会長)

 

ゲームと授業

島貫条司

 

「道具……、アイテムと言ったほうが分かりやすいか」

 

「道具……、アイテムと言ったほうが分かりやすいか」

理科の授業中、生徒が眠たそうだとわざと話をそらせることがあります。

「アイテムと言うからには何かの働きを持っている。たとえば……」と、やはりゲームにでてくる道具などの話を続けると、男の子たちは、たちまち元気になってしまいます。

「何で知ってるんですかあ」

「先生もやってるんですかあ」

と目を輝かせます。

ひとしきり話が終わって、

「だから“動滑車”も、そういうアイテムの一つだと考えれば……」

と話を戻すと、とたんにまた眠くなる子もいるのですが……。

生徒は、ゲームの話が大好きで、ゲームに出てくる言葉を使う人間に対して仲間意識に近い感覚をもつように思います。

子供たちがゲームを好むのは、次のようなおもしろさがあるからだと思います。

まず、経験を積むとレベルが上がっていき、新しい技が使えるようになったり、新しい呪文を覚えたりすることです。強いモンスターも簡単に倒すことができ、「強くなったなあ」と実感することができます。(変容が自覚できる評価しかも細かいステップでの評価が大切だということでしょうか)

次に、今まで行けなかった所に行けるようになり、新たな趣向を楽しむことができることです。(達成感や充実感を味わうことが次の意欲につながるということでしょうか)

ゲームの中では、楽しみながら冒険を進めるうちに、秘められた謎が解けていきます。

理科の授業でも、「自然」のもつ不思議さやすばらしさに触れ、感動を味わいながら、主体的に探求を進め、謎を解き明かしていく喜

 

 

 


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