教育福島0217号(1999年(H11)02月)-040page
教育センター情報『窓』
【研究主題】
教師一人一人の主体的な取り組みによる授業の改善・充実
算数科のT・Tを通して
舘村立上郷小学校教諭 星尚子
(前 田島町立檜沢小学校)
一 研究の趣旨
児童生徒の学力向上を図るという本県教育の課題を踏まえ、本校(田島町立檜沢小学校)でも平成八年度から算数科を中心とした「基礎学力向上プラン」を作成し、T・T方式による研究を進めてきた。
その結果、標準学力テスト(NRT)の偏差値も平均四十八から五十一へと伸びがみられた。また、T・Tによる授業に対して「分からない時すぐ教えてもらえる」「自分の考えをよく見てもらえる」などの声が児童から聞かれるようになった。
しかし、指導にあたってきた学級担任からはT・Tを通して解決したい問題点も上げられた。それらの問題点はよりよい授業をしたいと考える教師自身の指導力向上に対する願いであるともいえる。それらの願いを意識化し、教師一人一人が日々の授業に意欲的に取り組むことにより、基礎学力向上に向けた授業の日常化が図られるものと考える。そのためには、
・教師一人一人の願いを意識化させる環境であったか
・教師の願いに応える指導援助があったか
・指導力向上のための主体的な取り組みがあったか
という点から授業実践の充実について反省しなければならない現状がある。
そこで、教師一人一人が自己の課題を持って主体的に学習指導の改善を進めることが日常の授業充実を図る取り組みとなり、さらに教師一人一人の指導力向上にも結びつくものであると考え、この研究を進めていくことにした。また、教務主任として校内研修の推進を図るとともに、各学級担任とかかわるT・T教員としての立場からも日々の授業に取り組んでいくことにした。
二 研究の見通し
算数科のT・Tにおいて、教師一人一人が自己の課題を明確にし、授業実践反省記録の累積を生かし、日常の授業改善に努めれば、指導力が向上し、授業の充実が図られるであろう。
三 研究の方法と内容
(1) 個人課題の設定
1) 個人課題と手立ての設定
2) 学校担任一人一人の課題をもとにした意識調査
(2) 授業実践と反省記録の累積
1) 課題にそった授業実践への協力援助
2) 反省記録の累積と分析
(3) 基礎学力向上プランの推進
1) 「授業の中で」の指導
2) 「授業外で」の指導
四 研究の概要と考察
(1) 個人課題の設定
1) 個人課題と手立てにそった実践記録
・T・Tを実践している学級担任から個人としてとらえている課題とそれに対してどのように取り組んでいきたいかを聞き、その場合のT・T担当者としてのかかわりを提示し、個人課題から授業改善に向けての実践にあたった。
【授業反省についての考察】
・自力解決場面での個への支援や操作活動において、役割を明確にしたT・Tが効果的だったととらえている。
・教材研究の必要性や大切さが上げられており、それがT・Tの打ち合わせに役立つと考えられる。
・話し合いと学習のまとめの時間を確保し、評価に生かそうとする努力がみられた。
・児童一人一人の考えの生かし方、指導に入る前の実態のとらえ方、レディネスの高め方が今後の努力点として上げられる。
2) 課題意識調査と変容
・先生方の意識を「児童の実態把握」「教材研究」「指導」「評価」の観点から調査した。観点を授業の充実に結びつく内容とし、その中で先生方が自己の課題を