教育福島0218号(1999年(H11)4・5月号)-013/52page

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むための道徳教育の実践が重要である。

さらに、道徳教育においては児童生徒一人一人が、道徳的価値にかかわって、人間としての在り方や生き方について自分の考えをしっかりともち、自分のよさを生かして豊かな自己実現を図ることができるよう発達段階に即して支援していくことが必要である。

各学校においては、次の四点から道徳教育の実践課題を明確にして、その改善と充実を図っていきたい。


1 道徳教育計画の改善

道徳教育は、学校教育全体で行うことを基本とする。そのためには、学校の全教育活動でどのように指導するかについての総合的な見通しをもち、全体的な計画のもとに行う必要がある。

各学校で作成される道徳教育の諸計画については、全教員が参画して作成するとともに、各学校の道徳的課題を十分に見据え、解決の方策を具体的に示した生きて働く計画への一層の改善を図るべきである。

(1) 児童生徒、学校及び地域の実態を考慮して、学校の道徳教育の重点目標を設定する。

(2) 地域性、学校規模、伝統や校風等に着目し、学校の特色を生かした道徳教育となるよう配慮する。

(3) 児童生徒同士や教師と児童生徒の豊かな人間関係を譲成して、よさの尊重や認め合いが日常的に行えるよう配慮する。

(4) いじめ問題への対応として、人間としての在り方や生き方にかかわる内容を重点的に取り上げ、指導の充実に努めるよう配慮する。

(5) 教師は、よりよく生きようとする児童生徒の努力を評価し、その人間的成長を見守る。

(6) 家庭や地域社会との連携を積極的に図り、一貫した道徳的実践の指導ができるようにする。

2 豊かな体験による指導

道徳教育における豊かな体験とは、豊かな心の育成にかかわる体験であり、道徳的価値を内面的に自覚したり、行為として表すことのできる体験である。

児童生徒は、学校生活等において様々な体験を通して、たくさんの道徳的問題や課題に直面する。それらについて主体的に解決しようと考えたり判断したりする内面的な心の働きが、道徳性を育むことになる。

このことを踏まえ、次の点に留意して指導することが大切である。


(1) 学校教育の中で計画される豊かな体験は、それぞれ独自のねらいを持っている。教師はその体験について、道徳の内容の四つの視点(自分自身、他の人とのかかわり、自然や崇高なものとのかかわり、集団や社会とのかかわり)からとらえ直し、どのような支援が可能か十分に検討しておく。

(2) 道徳の時間の補充、深化、統合の機能を生かし、児童生徒が体験を通して直面した道徳的問題や課題と関連を図った指導を心がける。

(3) 担任は、児童生徒が学級で年間を通してどのような体験をするのかを構造的に把握し、道徳的実践の場と機会に偏りが凄いよう配慮する。

(4) 家庭や地域社会との連携を図り、日常生活における基本的生活習慣や望ましい人間関係の育成にかかわる道徳的実践が行われるよう配慮する。


3 道徳の時間の指導の充実

道徳の時間は、全教育活動で行われる道徳教育を、道徳の内容との関連で全般にわたって見直しを図り、それらの中で指導されたことをさらに補充、深化、統合して調和的な道徳性の育成を図る時間である。道徳の時間を通し、児童生徒の道徳的心情を豊かにし、道徳的判断力を高め、道徳的態度と実践意欲の向上を図るなど、道徳的実践力の育成を目指している。

道徳の時間が、資料の読み取りや道徳的価値を理解させるだけの指導にならないよう、児童生徒と共に語り合いながら共に悩み、考える視点から授業を見直し、創意工夫することが大切である。

(1) 導入では「ねらい」への興味・関心を高め、道徳的問題や課題に心を動かし、学習する道徳的内容に対する課題意識を喚起する。

(2) 展開部分においては、資料への的確で深い共感を引き出すために、資料の提示等に十分な工夫を凝らす。

(3) 価値を内面的に自覚させる段階では、児童生徒自身が感じたことや考えたことを伸び伸びと


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