数学
基礎・基本を確実に身に付け、数学的な見方や考え方に基づいて判断し処理する力を育成するために
問題内容と正答率等の概要
1 基礎的・基本的な問題(1)
「数と式」、「数量関係」、「図形」の三領域の基礎的な間題です。今年度は、従来の問1、問2を三領域の基礎的・基本的な問題で再構成し、問2から問7に含まれていない内容について出題することを考慮しました。
(1)は、基礎的な計算問題で、1)から3)までの正答率は七八・五%から九七・二%までと高くなっています。
(2)は座標の意味を問う問題です。正答率は九一・七%です。
(3)は三角形の相似から辺の長さを求める問題です。比の性質の正しい理解が必要です。正答率は八三・八%です。
2 基礎的・基本的な問題(2)
三領域の基本的な問題です。
(1)(3)(4)は「数と式」の領域の問題です。
(1)は、文字式の四則計算の問題で、正答率は五六・九%です。
(3)は、二次方程式の解の意味を考えて文字定数の値を定める問題で、正答率は六三・一%です。
(4)は分数係数の一次不等式を解く問題で、正答率は六丁八%です。
(2)は円に内接する台形に関して角の大きさを求める「図形」の領域の問題です。正答率は五三・三%と、問1、問2の中ではもっとも低くなっています。
3 「数量関係」を中心に、文章を 理解して処理する能力を問う問題
(1)は自動車の速さに関する数量関係を把握して、速さと距離の関係を一次関数として表し、ある区間を通過するのに要する時間を求める基本的な問題です。正答率は、1)の立式が三一・八%、2)の通過に要する時間が五二・三%です。
(2)はカレンダーの曜日の並びと日付の関係の規則性を発見し、それに基づいて処理していく問題です。1)は同じ曜日が七日おきに繰り返されるという規則性を発見するための手がかりとなる問題で、正答率は九四・七%と非常に高いものでした。2)は一月、二月のカレンダーから発見した規則性に基づいて、一二月の日曜日に並んだ数の和を求める問題です。正答率は一三・五%と問三の中ではもっとも低く、発見した規則を問題に適用する考え方や処理能力が必要です。
(3)は一枚の硬貨を投げたとき、その結果によって数直線上の点をある規則に従って移動させ、硬貨を三回投げた後の点の位置を問う基本的な問題です。正答率は三四・〇%です。硬貨を投げた結果を整理し、樹形図の利用等により的確に処理することが大切です。
4 平面図形の基本性質の理解及び直観力や論理的思考力を必要とする問題
(1)は平面上に固定された二つのピンに接しながら三角定規を動かすとき、三角定規の一つの頂点が動くときにえがく線の長さを求める問題です。1)はえがく線である円弧の直径になっている線分の長さを三平方の定理を利用して求める基本的な問題で、2)への誘導になっています。正答率は、七一・○%です。2)はえがく線の長さをめる問題で、正答率は四・六%と非常に低くなっています。試験場に持ってきた三角定規を問題用紙に当てて動かしてみるなど、試行錯誤しながら考えを進めていく態度が大切です。
(2)は平行四辺形における線分の長さに関する証明問題で、直観力によって見通しを持ち、論理的に考えを進め、それを的確に表現する力を問う記述式の問題です。正答率は一三.九%で、部分正答率が一二・九%です。等しい線分を見つけだし、それらが等しいことを証明する力が求められます。
5 題意を読みとり、条件を整理して立式し処理する問題
身近な事象を取り上げた連立方程式を利用する問題で、文章をていねいに読みとり、数量関係を把握して式を作り、処理する過程も記述する問題です。正答率は八・一%、部分正答率が三一・二%となっています。数量関係の把握の仕方は多様ですが、条件を式という数字の「ことば」で表現する力が必要です。