教育福島0219号(1999年(H11)6月号)-027/52page

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“カラスとスズメ”だよね、先生

菊 池 清 子

菊池清子


春、新学期。どんなに元気に見える子も、どこか緊張している。そんな時、戸外に出ると、ふっと肩の力が抜け、ゆったりとした気分になって笑顔も多くなる。

「先生、あげるよ」と、仲良しになりたい“思い"を込めた、たんぽぽやすみれのプレゼント。自然の草花が好きな私は、そんな子供たちの心を大切にしたいと思い、早速、花を生けることができる花瓶探しを始める。

プリンのカップ…なかなか涼しげで愛らしい。赤や青色の鉛筆立て…これは野の花がモダンに変身。こんな花瓶なら、すみれ三本、たんぽぽ二本くらいで形になる。一年を通して、草花の愛らしさを楽しみながら生けて、保育室や職員室のテーブルの上に置いている。

ある時、自然に興味を持つきっかけとなった草花に出会った。それは、カラスノエンドウとスズメノエンドウである。

カラスノエンドウは、春のままごとには欠かせない。赤紫の美しい花で、実は子供たちの小さな手にピッタリで摘みやすい。まして、「この実はバター妙めして食べられるよ」なんて教えると、目を輝かせる。“カラス”ほど、はびこっていないので、スズメノエンドウは探すのに苦労するが、見つけた時はとても嬉しい。この二つの花は似ているが、スズメノエンドウの花は、消え入りそうな薄紫で、実はとても小さい。子供たちは「カラスとスズメ」を一度で覚えてしまう。

コーナーを設け、それぞれの名前を書いて生けて置くと、毎日誰かは見ていて、「これは“カラスとスズメ"だよね、先生」と、にっこりする。そうなったところで、[K君が見つけた○○]などとコメントを付けて紹介をする。

このようにして、季節に合うものを探し、変化をつけながら子供たちの意識付けを図っていく。それが、草花だったり、面白い形をした種だったり、落ち葉だったりする。時には、ドングリの木にいた怖そうな毛虫やプールに住み着いていたオタマジャクシまでというように様々である。

移り行く季節の中で感じる美しさや不思議さを子供たちと一緒に味わいたいと願い、また、今年も、「カラスとスズメだよね、先生」から始めようと思っている。

 (保原町立上保原幼稚園教諭)




変 化

安 瀬 一 夫

 安瀬一夫


精気みなぎる春。長い冬の静寂から目を覚ました草花や虫たちが躍動する季節。目に見えて風景が変わっていく。モノトーンの世界から暖色の世界へと変わっていく。この変化の象徴として桜は、鮮やかに咲き誇り、余韻を残して風に舞い散っていく。美しいと思う。永遠ではないからこそ、人々は記憶にとどめようと花を愛でるのであろうし、生ある春への変化する期待が心を好奇心で満たすのであろう。

クリントン大統領は、選挙戦で「チェンジ」を呼びかけアメリカ再生の夢を訴え、国民に再生の活力と夢を与えた。また、ゴルバチョフ書記長はペレストロイカ政策を推進することで疲弊したソビエト連邦の解体と再出発の端緒を演出し、冷戦を終焉へと導いた。

人々は明日への期待と不安から、現状改革へと立ち向かうとき、大きなエネルギーを放出し光り輝く。改革は一人ではなしえない。

高校生は、自己改革の時代にある。だからこそ、美しい時代と心の襞に記憶される。教員は、生徒たちの自己改革の現場に立ち会える。これこそが教員の喜び


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