教育福島0219号(1999年(H11)6月号)-029/52page

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心の窓を開かせる先生の笑顔

大 滝 勝 永

大滝勝永


私は、いつも『笑顔』を忘れずに子供に接することを心がけています。

これは十数年前、初任者研修の折、担当の先生の『笑顔の大切さ』という講演に感銘を受け、それ以来、時に思い出しながら心がけていることです。

この「笑顔の大切さ」を痛感したのは、小学校の分校に赴任した一年目、三・四年生の複式学級を担当した時です。三年生の女子の一人に、授業中一言も口を利かず、無表情でじっとしているだけの児童がいたのです。まるで私に対する無言の抵抗のように……。

こうした姿勢はどこから来るのか、何がこの児童をそうさせているのか、などなど、その理由を探りながら、児童の「心を開かせる」ためにはどうすれば良いのかを思案していました。普段の休み時間には、必ず声をかけて何気ない会話をするようにしたのですが、私の表情も堅かったのか、なかなか私の方には目を向けてくれなくて、手をこまねいているところに、あの講演を思い出したのです。

これ以降、この児童に「安心感」を持たせるために、できるだけ、『笑顔』を絶やさず、一つ一つの活動の変化をとらえるようにして、物事を達成した時には褒め、成果が上がらない時には工夫と勇気を与えながら、声をかけてみました。そうしているうちに、本人の表情が和らいできて、『笑顔』さえ浮かべるようになり、日々の活動の中に「はい!」という大きな返事が聞かれるようになったのです。

その後、私は中学校に移りましたが、ここでも『笑顔』は大きな効果を発揮しました。私に会いに来た卒業生の一人に、生徒指導面で容易ではなかった女子生徒がいましたが、つい先日、当人との話の中で「先生の『笑顔』があったからこそ、話し合える多くの機会が得られたし、大きく崩れず立ち直れたのだと思います。先生に感謝しています」との大変うれしい言葉にふれて、教師にとっての「笑顔の大切さ」をあらためて教えられた思いがします。

最後に、『笑顔のある授業・笑顔のある学級』そして『笑顔のある人間交流』を心にしっかりと刻み込み、今後もそのように心がけて参りたいと思います。

(矢吹町立矢吹中学校教諭)



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