教育福島0220号(1999年(H11)7・8月号)-008/52page

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特集1

新しい教育課程に向けて

特色ある教育活動の推進

義務教育課


新しい教育課程に向けて

 

一 今、学校で取り組むべきこと

県内の各小・中学校においては、日々の授業の充実を図りながら、新教育課程に大きな夢を抱いていることと思う。

その夢の土台となるのは、新教育課程の理念の十分な理解と各学校の課題を踏まえた完全学校週五日制下での教育在り方についての真剣な論議である。

それでは、各学校がまず取り組むべきことは何か。それは、「時数の生み出し方」とか、「総合的学習の時間の在り方」ではない。

このような「各論」に入る前に、まず、「確実な基礎・基本の定着」、「ゆとりの中での繰り返しの指導」、既存の教科の目標を押さえた「教科指導のより一層の充実」の実現こそが重要である。

次に、学校が目指す方向をしっかり見定めることである。

「どのような学校、どのような児童生徒、どのような学力、どのような授業や教師等」を目指すのかを明確にする作業に全教職員で取り組みたい。

また、これらの実現のための教育課程や学習環境の在るべき姿について、全教職員、時には児童生徒、保護者、地域の方々の英知を結集して、それぞれの理解と協力が得られるようにしたい。

以下、例えば、「どんな学力を目指すのか」について述べたい。

 

二 どんな学力を目指すのか

新学習指導要領では、小中学校九年間に、六百二十八時間の授業時数が削減され、各教科の教育内容は厳選される。また、総合的な学習の時間が新設され、中学校では選択教科が拡大される。

1 問われる授業と学力の質

したがって、これからは、ややもすると「知識量」に偏りがちだった今までの授業の質の大転換が求められる。これまで以上に、児童生徒が、学ぶ意欲、学び方や知的探究心を身に付けることのできる主体的な学びを可能とする授業の質及び学力の質が問われているからである。

2 学力の定義

そうかと言って、これから求められる学力の定義が、今までとは異なる全く別なものを意味してはいない。それどころか、下記の本県の学力のとらえはこれから目指す学力そのものと考えられる。

児童生徒の内発的な学習意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力とともに知識・理解、技能などを主体的に身に付け、よさや可能性を生かして自己実現していく力

【本県の指導資料「基礎学力向上の手引」第3集P3参照】

3 学力と評価

大切なことは、学力を獲得する過程やその方法に重点を置くことであり、児童生徒一人一人の主体的な学びを保障する授業への質的な転換である。

また、これからの学力の評価については、単なる知識の量としてではなく、学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などを重視し、自ら学び、自ら考える力が身に付いているかどうかが重要となる。

4 学力向上とlDブラン

このことは、本県が進めているIDプランの充実、即ち、日々の授業の質的転換に直結するものと考えられる。今まで取り組んできた基礎学力向上でも、情意面と認知面の相互作用を重視した学習の


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