教育福島0220号(1999年(H11)7・8月号)-010/52page
係する教科等に重点を置いた時数を計上することができる。あるいは、秋の運動会では、体育科、音楽科や総合的な学習の時間などを核とした一日教育活動や運動会週間として変化のある週予定を位置付けることができる。
(4) その他重視したいこと
また、今回の改訂では、次の点も重視したい。
○ 合科が三学年以上でも可能になったこと
○ 課題選択学習や自己の生き方を考える機会の充実
○ 個に応じた指導のより一層の充実
○ コンピュータ等の活用・充実
○ 多くの教科でその目標等を二学年まとめて示したことなど
これらは、変化とリズムのある教育活動を展開する上で非常に重要な要素となる。
4 特色ある教育活動
(1) 特色ある教育活動とは
先に述べたように、学校裁量は、 学校の課題解決や児童生徒一人一人の興味・関心等に基づく教育活動を創り出すためのものである。 これが、特色ある教育活動に連動する。これは、当然のことながら 「奇をてらうもの」でもなく、今まであったからなどと「惰性で進め るもの」でもない。
特色ある教育活動では、あくまでも、目の前の児童生徒の実態に即した個性を生かす教育を展開することになる。
(2) 特色ある教育活動と生きる力
言うまでもないが、特色ある教育活動を含む学校教育のねらいは、児童生徒一人一人に「生きる 力」即ち、左記の1)、2)、3)の能力などを育成することである。
【生きる力】
1) いかに社会が変化しようと、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する素質や能力2) 自ら律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性
3) たくましく生きるための健康や体力
さらに言えば、従来から言われてきた知、徳、体の調和のある人間の育成であり、新しい学力観と軌を一にする学力の向上や心の教育のより一層の充実を目指すことでもある。つまり、今回の改訂では、学校週五日制の下、ゆとりの中で、児童生徒たちに「生きる力」 を育成することを目指しているのである。そのための「特色」や「総 合」なのである。
(3) 私たち教師の意識変革を
(2)で述べたこ1)が知、2)が徳、3)が体と短絡的に考えることを意味しない。従来とは異なる学校観や教師の意識変革が根底になければならないからである。
今、私たちは、新しい学習指導要領の趣旨を踏まえ、児童生徒一 人一人にとって、真に楽しい学びの場としての学校や分かる授業の実現が求められている。
児童生徒にとって真に楽しい学びとなるために、変化とリズムのある学校、開かれた学校の中で、生涯学習の基礎となる力としての 「生きる力」を育むことが求めら れている。
(4) 特色ある教育活動の推進
特に、新学習指導要領の趣旨から年間計画を見直すとともに、特色ある教育活動について、次の点からの改善が必要である。
1) 各学校の創意工夫による柔軟な時間割や週時程の工夫○体験を伴う授業、練習を重視する授業等の目的や学習活動に応じて一単位時間を工夫できる。
○季節や地域行事に応じて、特定の時期に集中して授業を行うことができる。
これらのことを踏まえ、改めて、 児童生徒一人一人にとって、真にゆとりある楽しい学校生活が可能な時程等を創りたい。
2) 総合的な学習の時間
特色ある教育、特色ある学校づくりを進める上で、特に総合的な学習の時間において、各学校が創意工夫を生かした学習活動を積極的に展開することが求められている。
総合的な学習の時間では、一人一人が各教科等の学習で得た知識と生活とを結び付け、総合的に働かせることができるようにするため、次のような課題が考えられる。
○例えば国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題
○児童生徒の興味・関心に基づく課題
○地域や学校の特色に応じた課題
この他、「学び方の学習」、「教科、道徳、特別活動」、「愛や共生等の理念」なども学習の窓口として考えることもできよう。