教育福島0221号(1999年(H11)9月号)-044/52page

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なり、教師の称賛を受けて、より満足した表情を見せた。 

さらに、自らギターの所へはって行き、手を伸ばして力強く弦を弾くなど、自分なりの方法で自信をもちながらギターを弾くことの喜びを味わえるようになった。

音楽的な活動

−平成十年度− 

新しい楽器(パイプシロホン)の提示をした。少し戸惑いを見せたが、教師が演奏に合わせて歌を口ずさむと一緒に声を出し、ばちをしっかり握ってきれいに響く音を出し、笑顔を見せた。 

新しい楽器でも、何の曲か分かることによって活動の広がりを楽しむことができたように考える。

また、ギターを弾く活動でも、曲に合わせて音を出し、教師の声をよく聞いて、一緒に歌おうと精一杯声を出すなど、教師とのやりとりを楽しみながら、三十分以上も長時間取り組めるようになった。

【トーキングカードやカセットテープを聞く活動】

−平成八年度− 

どのような内容に本児が興味を示すかを探ることから始めた。その結果、トーキングカードでは、早口言葉や俳句、いろいろな擬音、数字等の繰り返しに興味を示すことが分かった。また、生活上で耳にする動物や虫の鳴き声、乗り物の音、ピアノや太鼓の音などを好むことも分かった。

−平成九年度〜平成十年度− 

好きなカードやテープを聞く活動では、うれしそうに大きな声を出したり、笑ったりする様子がたくさん見られるようになった。楽しそうな表情やうれしそうな声を出したカードについては、その都度、本児に確認をして何回か繰り返しかけることにした。

これらのかかわりを通して、次のカードを早くかけるように催促したり、自分からプレーヤーに手を伸ばし、カードを取ったりする行動も見られるようになった。 

身近な生活で耳にする音を聞く活動では、テープの終わりを教師に伝えたり、次のテープをかけるように催促したり、レコーダーのスイッチを押そうとしたりする様子なども頻繁に見られるようになってきた。 

本児の反応の様子を見ながら、その興味関心の高い内容に基づいて指導を継続したことが、より主体的に活動に取り組む姿へとつながってきたものと考える。

【絵本の読み聞かせ】

−平成八年度− 

当初、母親からは絵本の読み聞かせは好きな活動だが、この絵本はこの人に読んでもらうという規則があり、他の人が読んでもあまり興味を示さないとの話を聞いた。 

活動では、何冊かの絵本を読み聞かせ、本児の様子を観察した。「さんびきのやぎのがらがらどん」の絵本を静かに集中して聞く様子が見られたので、毎回読み聞かせることにした。本児が楽しんで聞けるよう登場するキャラクターごとに声色を変えたり、好きな場面の直前で少し間をおいたり工夫をすることで、楽しそうに声を出して笑ったり、早く読んでほしいというように教師の口に手を当てて催促するような様子が見られるようになった。

−平成九年度〜平成十年度− 

本児の興味関心の幅を広げていきたいと考え、新しい絵本による読み聞かせを行った。 

「何が始まるのかな」と期待するように耳を澄ませ、新しい絵本にもすぐに興味を示す様子が見られた。また、登場人物ごとに声色を変え、喜びそうな場面では大げさにせりふを言うようにすると、絵本ごとに特に好きな場面が幾つか出てきた。 

これらの学習を通して、絵本の読み聞かせ活動に対する興味関心がさらに高まったり、繰り返し聞くことによって、次はどんな場面になるか少しずつ気付いたりするようになり、比較的長い話も最後まで関心をもって聞けるようになった。

六 研究のまとめと今後の課題 

1 研究のまとめ(考察) 

本児の興味関心のある活動を探し、本児の示す行動などからやりたいことを察して、そのときどきに必


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