教育福島0222号(1999年(H11)10月号)-018/52page
特集 3
養護教育の充実 3)
教育改革と新学習指導要領
養護教育課
はじめに
平成十年七月に教育課程審議会から「教育課程の基準の改善について」の答申が出されました。
これまでは盲・聾・養護学校の学習指導要領の改訂については、幼稚園から高等学校までの審議が行われ、これからの答申が出されてから盲・聾・養護学校について審議が行われていたのですが、今回初めて、幼稚園、小学校、中学校、高等学校と同時に審議が進められてきました。盲・聾・養護学校にとっては、歴史的にも画期的で、意味のある出来事です。
また、このことにより、従前より盲・聾・養護学校が先導的に実施してきた交流教育について、小・中学校等の学習指導要領の総則に規定されたことも特筆すべきことです。
本稿では、2回にわたって、養護教育を取り巻く教育改革の流れと教育課程の改善のねらいや具体的な学習指導要領の改訂の内容等について、特に重要と思われる要点を中心に本県での具体的な取り組みの事例を紹介しながら述べていきます。
表1 盲・聾・養護学校学習指導要領改訂の基本方針
改訂の基本方針
○豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚の育成
○自ら学び、自ら考える力の育成
○基礎・基本の確実な定着と個性を生かす教育の充実
○特色ある教育、特色ある学校づくりの推進
◎障害の状態等に応じたきめ細かな指導の充実
●障害の重度・重複化への対応
●早期からの適切な対応
●職業的な自立の推進
●職業的な自立の推進
一 国際化の進展と盲・聾・養護学校
国際化の進展と盲・聾・養護学校のかかわりについては、県立盲学校と大韓民国のソウル盲学校が本県で開催された全国身体障害者スポーツ大会での交流を契機に、訪問交流等を行っています。
また、知的障害養護学校や肢体不自由養護学校においても外国人との交流が行われています。
しかし、大半の方は、国際化の進展は盲・聾・養護学校とは特別関係がないと思われているのではないでしょうか。
写真1 盲学校とソウル盲学校との交流
小学校、中学校、高等学校においては、国際理解教育について、様々な取り組みがなされるようになってきました。しかし、国際理解教育や異文化理解教育などに代表される学校における国際化への取り組みの中で最も重要な視点が欠けていたとの指摘もありました。
それは、外国以前にまず「身近なところに関心を向ける」ということです。
そういう意味で、盲・聾・養護学校においては、児童生徒が日常の学習の中で、自他の区別から始