教育福島0222号(1999年(H11)10月号)-019/52page

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まり、自分自身をよく知り、物や人など、周りの環境を知り、「違い」を理解していく過程(自己を確立していくこと)が盲・聾・養護学校での国際化を考えるときの要点として理解しておく必要があります。その上で、児童生徒の実態に応じた体験的な内容を中心とした国際交流や国際理解教育などを「総合的な学習の時間」で扱うことも十分可能です。

図1 国際化の図式
図1 国際化の図式


二 自ら学び自ら考える力の育成

これからの学校教育では、多くの知識を教え込むことになりがちであった教育の流れを転換し、児童生徒に「生きる力」を育むために、自ら学び、自ら考える力を育成することが示されました。これは、とりもなおさず、教師の意識の転換が求められているということにほかなりません。

本県が目指す「ともに生きる社会づくり」の根本理念でありますノーマライゼーションの基本的な考え方の中で、最も重要なことは「本人参加と自己決定」であるといわれています。

これは障害者の主体的な社会参加を促進する上で大変大切なポイントになります。

事例 1

A養護学校の作業学習

表2 作業学習の事例
表2 作業学習の事例

この事例にあるように、障害のある児童生徒が「どれだけその学習活動に参加しているか」、そして、「決定は誰が行っているのか」が主体的な学習のキーポイントになります。そのためには、教師が指示をするのではなく、例えば、タイマーのベルでスイッチを切るタイミングを生徒が自分で分かるように工夫を行い、教師の支援は最小限にとどめることで生徒の自己決定が可能になります。
なお、「総合的な学習の時間」が創設され、体験的な学習や課題学習の充実を図ることが示されていますが、盲・聾・養護学校には、生活単元学習のように横断的・総合的な学習を行う「領域・教科を合わせた指導」が既に行われています。ただ、「総合的な学習の時間」は、課題解決学習が中核となりますので、児童生徒の主体的な学習がより一層展開できるように、指導内容とともに教師の支援の在り方を研究していくことが必要です。



三 基礎・基本の定着

盲・聾・養護学校では、児童生徒の重度・重複化、多様化が進み、様々な障害や能力の異なる児童生徒が学んでおります。このような児童生徒の実態を踏まえ、「生きる力」を育む基礎・基本を定着させるためには、個に応じた指導の充実と指導内容の厳選が重要になります。
完全学校週五日制に伴い、時間的にもゆとりのある教育活動が展開されることをねらって、新しい学習指導要領では、授業時数を減らしたり、学習内容が今までより少なくなっていますが、各学校では、児童生徒の状態に合わせて指導内容を絞り、様々な創意・工夫を行うことが必要になります。

事例 2

B養護学校高等部の数学科指導

〜単元構成の工夫〜

病弱養護学校では生徒の学習空白の期間がそれぞれ異なるため、一斉に指導することが困難です。それを解決するため、集団での学習を基本において数学1、2を学習するための基礎となる力は、「数や式の計算力」と考え、内容の系統性と生徒の意欲を引き出す観点から指導内容を精選し、二次関数を学ぶための「導入単元」を作成するとともに教材・教具の工夫により、生徒が興味をもって学習に取り組みました。また、生徒が主


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