教育福島0222号(1999年(H11)10月号)-020/52page
体的に問題を作成したり、体験的な活動の中で生徒同士の協同学習へと発展したりしていきました。ほとんどの生徒が学習課題を達成するとともに大きな成就感を得ていました。指導内容の厳選に当たっては、児童生徒の実態によって個別の課題による対応も必要ですので、学習経験や能力に合わせて様々な創意工夫が大切になります。
図2 数学の単元構成の工夫
四 個を生かす教育の充実
〜個別の指導計画の作成〜
障害の重度・重複化、多様化に対応するためには、教師間の連携による指導や指導方法の改善を行うなど指導体制の工夫を行い、個に応じた教育をより一層進めることが重要になります。今回、障害の重度・重複化への対応として養護・訓練の名称が「自立活動」に変わり、目標及び内容が整理されるとともに個別の指導計画の作成が規定されました。また、同様に重複障害のある児童生徒の指導を行う場合にも個別の指導計画の作成が新たに示されました。
知的障害養護学校においては、領域と教科を合わせた指導として「生活単元学習」などが一斉指導の形態で伝統的に行われてきています。しかし、一人一人の児童生徒の興味・関心を生かした学習活動の展開や指導のねらいが、能力差のある児童生徒の集団学習場面では希薄になる傾向が少なくありませんでした。そういう意味でも、自立活動以外の教科・領域においても、多様な教育ニーズに対応し、一貫した指導を行うためには、個別の指導計画の作成が必要となります。学校全体としてどのような観点で作成したらよいか検討しぜひ取り組んでほしいと思います。特殊学級についても同様です。
五 地域に開かれた学校づくり
様々な教育的課題が山積する中で、従来のように学校だけですべての問題を解決することが困難になってきました。そのため、PTAや地域社会との連携を今まで以上に密にするとともに、学校の施設や教育機能を活用して地域の教育相談センターとしての機能を果たしていくこと、さらには学校の教育活動に地域社会の人材や施設など社会的資源を積極的に活用することが必要になってきます。
盲・聾・養護学校は、それぞれの地域においては、地域の小・中学校と連携を図ったり、特殊教育の中核的な機関として積極的にその専門的な機能を生かして地域社会に貢献したりすることが、地域住民の理解・啓発を促進し、障害のある児童生徒の社会参加・自立を推進する上で重要になってきます。今回の改訂では、「特色ある学校づくり」が示されていますが、既に取り組んでいる県内の学校の例を紹介します。
聾学校では、以前から地域住民を対象とした手話講座を開講したり、演劇の公開などを行ったりして