教育福島0222号(1999年(H11)10月号)-028/52page

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一般的にPTAの問題点は、「地域の連帯感が薄く集団活動への関心が低いこと」「女性の就労化が進み母親の参加も少ないこと」「生徒の学力向上に関心が集まり、本来の教育を見失いがちであること」「PTAの果たす役割の認識が低いこと」などが言われています。今日の時代背景と報じられてきた様々な青少年問題に現状のPTA活動がかならずしも対応されているかというと疑問です。忙しさのなかで、学校にすべてを任せてきた親の怠慢が、現代の青少年像を作り出していると言い切りたい感じもします。

好むと好まざるとにかかわらずPTAは自動加入ですから、参加意識が低くなるのは当然かもしれません。ややもすれば一部の会員や役員だけのPTA活動になってしまうかもしれません。いろいろな活動を企画し実施しても、参加が少なければ連帯意識(親と親、親と先生)など生まれるはずもなく共通理解をもって子供の教育にあたるなどできません。一番の問題点はそこにあるのです。

とは言っても、私も十数年PTAに関わってきて、その解決策を見いだせたわけではありません。ただ言えることは、PTA活動に参加意識が高いほど子供たちの学校生活は穏やかであるというのが実感です。いかに多くの保護者を集めるか、小人数でも何回も繰り返し行うか、とにかく子育てにおける共通認識の輪をどう広げていくかが、今のPTAのあり方ではないでしょうか。もっともっと多くの保護者にPTAに関心を寄せてもらわなければなりません。

最近考えていることは、各委員会として役員を選ぶのは良いのですが、そのほかのほとんどの保護者の方は会員というだけで、PTAとしての具体的役割がありません。そこを何とかすれば少しは前進するのかもしれない、と。まさか全員役員というわけにもいかないが、ふと考えてしまいます。

(会津若松市立一箕中学校PTA会長)

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教え子との再会

田村恵美子

田村恵美子

「田村先生ですよね」

美容院で声をかけられ、思わず振り返りました。今風の若い美容師さんが、ほほ笑みながら立っています。急に声をかけられ、戸惑っていると、

「Fです。○小学校でお世話になったFです」

と言ってあいさつをしてきました.名前を聞いて、すぐに思い出しました。教職経験十一年目にして、初めて送り出した卒業生だったのです。

八年前、私は、勤務した小学校で六年生を担任することになりました。それまで十年という教職経験は積んでいましたが、初めて六年生を担任することになり、戸惑うことばかりでした。最高学年としての自覚を持った行動をとってほしいと期待する私と、子供たちとの距離は遠く、自分の思いがカラまわりしているのに悩みました。

その距離が縮まるきっかけになったのは、子供たちと一緒になって小道具や衣装づくり、そして脚本づくりと、全員の力で劇を成功させようとがんばった学習発表会でした。そのとき、先頭に立ってみんなに声をかけ、まとめていたのが、Fさんたちだったのです。

その後も、子供たちは、卒業する前に役に立つことをしたいと言って、空き缶拾いをしました。やはり、Fさんたちの呼びかけで、クラス全員で取り組みました。真夏の暑さの中、みんなで一緒に心地よい汗を流すことができました。

自分たちで考え、自分たちの手で成し遂げようとする姿勢から、大切なことを教えられた気がしま


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