教育福島0222号(1999年(H11)10月号)-036/52page

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心に残る一冊の本
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困難を乗り越えた強さ

大越町立大越中学校教諭

渡邊朱美

渡邊朱美

離婚・病気・子供のいじめとさんざんな目にあっても、負けることなく前進する強さに感動した。

子育てに教師にと、毎日を送る私には、信じられないこと信じたくないことが書かれていた。

教師として、学校に勤務し、さまざまな経験を積んできた。日々変化していく、子供たちの気持ちを理解しようと努力しても、理解できずに悩んだこともあった。時には、家庭の問題に踏み込めぬいら立ちの中で、時を過ごしたこともある。

「親も教師も子供の行動の点しか見ていない。そして、その点から子供の心を大人の心で推測する。子供の心は随時ゆれ動く。親子関係・交友関係・興味によりさまざまに変化する。どこに刺激が加わっても反応が出やすい感受性をもっているのが子供だ。行動を生み出すみなもとである心を理解することは、大人にとって苦手な作業のようだ」

小学校五・六年と息子が不登校となり、教師の対応や言動に批判を持った著者であった。そんな中でも、自分を見つめる時間を持ち、学習を始める。年月は娘と息子の心も体も成長させた。

「どんな子も幸せになる権利をもっている。決してあきらめてほしくない。そして、それを育むのが、私たち大人の役割ではないだろうか?」と著者は言う。

あいもかわらず「いじめ」は続いていくが、夢を確実に現実のものにしていく努力が続けられる。

繰り返される「いじめ」にも、さまざまな出来事にも、三人で乗り切ってきだ親子の強さに感動した。親として教師として学ぶことの多い作品だった。出来るならば、同じ悲しみを抱く子供がいない世の中であってほしい。

本の名称:母業失格
著 者 名:井上朝子
発 行 年:1999年3月
本コード:ISBN4-591-06069-1




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