教育福島0223号(1999年(H11)11・12月号)-009/48page

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「総合的な学習」第1年次研究経過報告書P11 福島市立福島第三小学校



□特色や課題の洗い出し(実態把握)

地域社会は、子どもの生活と現代社会の接点であり、現代社会のさまざまな問題や課題が集約して現れている。また、本地域は、河川、山野、公園、諸施設などの総合的な学習の素材の宝庫である。それをどう生かすかで学習活動も大きく左右される。そのため、まず地域には何があるか、そしてどのような実態であるか明らかにしていくことから始めたい。

地域 学校 子どもの実態をどうとらえ、どう考えるか

※平成11年1月現在(*は学区の近辺)            福島市立福島第三小学校

主な視点 どのような実態であると考えるか どう生かせるか
地域の実態 自然環境 ○中通り北部の福島盆地の中央で、夏は極めて暑く、冬は降雪がある。
○都市部としては、自然環境に恵まれている。
 ●信夫山─信夫山公園、展望台、北限の柚子、セミ、カラスなど
 ●阿武隈川─白鳥飛来地、カゲロウ、飲料水の水源、水辺の楽校など
 ●祓  川─親水公園 *吾妻山、雪うさぎ、吾妻おろし
 ●松  川 *小鳥の森、胡桃川
→直接体験の場として
 ●フィールドワーク
 ●採集、野外観察
→調査、探求活動の対象として
 ●四季の変化
 ●川の上・下流探険など
社会環境 ○社会的な施設
 ●公園(信夫ケ丘緑地公園など) *公会堂、市民会館、児童公園
 ●ラジオ局、競馬場、病院 *テレビ局、新聞社、保健福祉センター
○歴史的な史蹟
 ●岩谷観音 *奥の細道(文知摺、月の輪の渡し)
 ●水雲神社などの神社仏閣 *西根堰、東根堰
 ●五十辺などの地名 *宮畑遺跡
○伝統的な行事、伝承(あまり見られない)
 ●五十辺地区の祭礼 *稲荷神社の祭礼
 ●信夫三山暁参り  *わらじまつり
→各種の地域マップを作る
→活動のイメージマップを作る
→調査、探求活動の対象として
 ●地域のくらしのうつりかわり
 ●祭りや年中行事
 ●福島のまち、町名、歴史
 ●特産品、民芸品
 ●伝説のふるさとを訪ねる
 ●ふるさと自慢
家庭環境 ○アパート、市営団地、マンションなどの集合住宅(転勤族)が多く、庭のない住宅の児童が多い(56%)。近所に手ごろな遊び場がない。
○核家族化、少子化により、兄弟姉妹数(1人8%、2〜3人81%)や三世代同居家族(21%〕が少ない。高齢化現象が見られる。
○サラリーマン家庭が多く(91%〕、生活が都市型である。
→直接体験活動として
 ●土に親しむ(栽培活動)
 ●木登り、キャンプ
 ●年中行事の復活、参加
 ●郷士料理を作る
学校の実態 教育環境 ○保護者の学校教育への関心が高い。
○PTA活動は活発で、主体的な活動情況であるが、転入家庭も多く、保護者のものの見方や考え方、価値観は多様である。
○スポーツ少年団や地区体育協会などの活動が盛んである。
○保護者や地区民は、学校教育に協力的である。
○PTA「学年活動」を実施している。
→「学習参加」の協力依頼
→直接体験活動として
 ●外国の人と遊ぶ
→ゲストティーチャーとしての招聰
→人材の調査・登録・活用(PTAとの連携)
子供の実態 生活態度 ○基本的な生活習慣が身についている児童が多いが、家庭環境などから生活のリズムや習慣が不安定・不十分な児童も見られる。
○素直ではあるが「ならぬことはならぬ」などの道徳的な規範、あいさつや返事などの基本的なマナーなどが十分身についているとはいえない。
○指示待ち、集団の中で自主性が乏しく、表情が固い児童が目につく。
○通塾やスポーツなど(6年生77%)で、放課後の遊びや自由時間が少ないうえ、テレビゲームなどで過ごす時間が多い(6年生58%)
○家事手伝いを毎日している子は少ない(6年生27%)。
→生活習慣や生活技能、基本的なマナーを身につける活動の設定
→興味・関心に基づく主体的な活動の場の設定
→一定の期間を要し、試行錯誤や努力が生まれる活動の設定
→汗を流し、体を通して実感できる活動の設定
発達段階や特性 ○戸外で遊ぶことが少なく、体力・運動能力面で劣っている。(6年生がよく遊ぶ場所:友達の家87%、自分の家の中78%)
○異年齢集団での遊びが少なく、児童同士のつながりが希薄である。
○知的な能力は比較的高い(塾?)が、自主性や感性、思いやりなどが乏しい事例が見られる。
○ものしりではあっても、頭でっかちで直接体験が足りない。
○核家族の中で親のかかわりが強く、不登校傾向の児童が増えている。
→異年齢集団活動の設定
 ●全校で、学年ブロックで
 ●下学年児童や園児と
→集団としての活動のよさを実感できる活動の設定(発達段階)

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