教育福島0223号(1999年(H11)11・12月号)-010/48page
Q3:どのようにして児童生徒に問題意識を持たせ、「総合的な学習の時間」の課題設定をすればよいか。
A3 「総合的な学習の時間」では、先ず、児童生徒が切実な問題意識を持つことを大切にする。そのためには、児童生徒の問題意識を刺激するような事実との出会いや場面設定が必要である。例えば、本物の職人の技を見せたり、地域の川を歩きながら観察を続けたり、または、実際に見学や調査が不可能な時はVTRや新聞記事なども効果的であろう。
このようにして切実な問題意識を持った児童生徒には、適切な場の設定や時間の確保、調査方法の支援などをしていくと、自分の力を発揮して次々に活動しながら問題を解決していくことができるようになると期待できる。
また、「総合的な学習の時間」は、児童生徒自らがめあてや課題を持ち、その実現や解決に向けて主体的に活動する課題解決的な学習を重視している。その際、学習課題をどのように児童生徒自身のものにしていくかが指導上の課題となる。児童生徒の主体的な活動だからといって、初めから放任したのでは課題を持つことは難しいし活動も深まらない。そこで、児童生徒自らが課題を持てるようにするために、児童生徒の実態に即した学習段階を工夫する。
Q4:「総合的な学習の時間」の指導計画は、どのようにすればよいか。
A4 指導計画は、児童生徒や地域の実態やこれまでの各学校の教育活動の積み重ねなどにより特色のあるものとなる。また、扱う内容によって短期集中型や長期継続型の単元で実施する方が効果的な場合もあるなど計画も多様に考えられる。従って、扱う内容や活動、学級や学年の実態により、多様な展開が可能になるよう柔軟な考え方で作成する。
また、指導計画はあくまでも計画であるため、児童生徒の活動の状況によっては変わることも十分に考えられる。従って、危々な角度から児童生徒の実態や発達段階を考慮しながら立てる。
先ず初めに、ねらいを明確にし、児童生徒をどのように育てたいのか、その時の内容、方法、形態などを十分に学校全体や学年などで話し合う。また、内的・外的な条件整備も十分考慮し検討する。
Q5:「総合的な学習の時間」の活動形態には、どのようなものがあるか。
A5 「総合的な学習の時間」では、多彩な内容や活動から活動形態も多様に変化することが考えられる。活動形態については、これまでも学校行事や集会活動、教科学習等の諸活動において、個別・小集団・学級・学年・学校全体等の形態が工夫されてきた。これらの経験を生かして活動形態を工夫することが求められる。(1)〔個別での活動〕課題について、一人一人の児童生徒が個別に追究したり、活動したりする。
1) 児童生徒が自分なりの目標や課題を持ち、自分のペースで活動できるので、集中することができるよう時間と場を確保する。 2) 他の児童生徒との交流機会が少なくなることから、活動過程においても情報交換や交流の機会を設定する。 3) 問題意識を持つことや解決の方法を見つけることが困難な児童生徒には、教師が適切な支援をする。
(2)〔小集団での活動〕課題について、小集団で追究する。
1) 他の児童生徒との関わり、協力、自己の表現の機会を増やす。互いのよさや違いに気づき、情報交換や交流の機会を持つことができるようにする。 2) 特定の児童生徒の考えや意見に左右されないよう集団の中の個々の活動状況に留意する。
(3)〔学級・学年での活動〕課題について、学級や学年規模の集団で追究したり活動したりする。
1) 大勢の力を結集する大規模な活動が可能になり、触れ合いや学び合いの機会が増え、集団への所属感や集団での自己の存在感などを実感させる。 2) 個々の児童生徒の目標や課題解決の状況に配慮する。 3) 目立たない児童生徒への配慮をする。
(4)〔全校での活動〕課題について、全校の児童生徒が一緒に追究し