教育福島0223号(1999年(H11)11・12月号)-011/48page

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たり活動したりする。
1) 全校の児童生徒が一堂に会して、活動を通して一体感を味わわせるとともに異学年の交流の機会とする。
2) 全校がまとまって活動を展開するためには、教師も一体化した体制で支援する。


(5)〔形態が変化しての活動〕活動のねらいや展開の過程に従って、個別から小集団へ、学級から学校へと変化したり、その逆になったりと活動の形態が変化する。
1) 実際の活動においては、この場合が多いと思われる。児童生徒の追究課題や活動の場の条件などに応じて、柔軟に形態を工夫する。
2) この形態の効果や課題を考慮し、児童生徒が個としてあるいは集団としての自己実現が適切に図れるように支援する。


Q6:家庭・地域社会との連携はどのようにしたらよいか。

A6 「総合的な学習の時間」では、活動の場を学校の外まで広げることも多く、また、指導者も教師だけではなく、広く社会人を登用することもある。さらに、教材は多様な素材から求められる。例えば、博物館や図書館の利用など地域の教育力利用が今後は大切になってくる。

従って、学校の中だけでの論理では、これからの教育活動を成り立たせることは困難である。前回の学習指導要領の改訂で創設された生活科が学校を開き、家庭や地域社会との連携を見直すきっかけとなったが、「総合的な学習の時間」で一層推し進められるようにする。児童生徒が地域社会の中に出て行くだけでなく、教師も積極的に関わるようにする。

そのため、「総合的な学習の時間」の全体計画や指導計画を立てる場合に、学校職員だけでなく保護者や地域の人々、児童生徒等の意見を参考にし、適切に運用ができるような組織づくりをする。

また、学校の教育活動において地域の人々との連携がさらに必要であり、これらを組織的・計画的に推進することが大切である。


Q7:「総合的な学習の時間」では、児童生徒の評価をどのようにすればよいか。

A7「総合的な学習の時間」の評価は「数値的に評価するような考え方をとらない」ということから、次の三点のような肯定的で積極的な評価を重視する。その際、必要以上のものを集めるのではなくて、評価の視点を明確にして進めるようにする。

1) 一人一人の児童生徒を大切にし、よさや可能性を伸ばす評価
○ 共感的な児童生徒理解
○ 長期的、多面的で多様な評価方法
○ 独創性や創造性の尊重
○ 児童生徒なりの取り組み方法や学習過程の尊重
○ 絶対評価が原則
○ 児童生徒相互の肯定的な評価や励ましの活用
2)

学習活動の過程を大切にした評価
「総合的な学習の時間」でその習得をねらいとしている学び方や考え方は多様であり、また課題の解決に至る経路も個々の児童生徒によって異なる。従って、教師は児童生徒の活動過程に目を向けることが大切である。活動過程で児童生徒を認め励まし、行き詰まっていたり、非能率的な取り組みをしたりしている児童生徒には、適切な支援をしていくことが大切である。つまり、児童生徒の学習活動の過程を大切にし、それに即応した評価の工夫が求められる。

3)

児童生徒の自己評価能力を高める評価「総合的な学習の時間」は、自ら課題を見つけ、自らの方法をもって解決や追究する活動が重要となる以上、児童生徒が具体的な学習活動を振り返り、自らの学習の改善を図ったり、軌道修正したりすることは不可欠と言える。時には教師の援助や指導を受けながら、あるいは共同で評価の項目や観点を設定し評価しながらも、最終的には自分で評価基準を持ち、自らを評価し学習活動の改善を図っていくことができる能力を育てることが求められる。そして、この能力は学校教育の範疇にとどまらず、生涯にわたって「生きる力」の基盤となるものである。


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