教育福島0223号(1999年(H11)11・12月号)-012/48page
特集 2 養護教育の充実 4)
〜新学習指導要領の要点〜
養護教育課
はじめに 本誌十月号の「養護教育の充実?B『教育改革と新学習指導要領』」において、養護教育を取り巻く教育改革の流れと教育課程改善のねらい、具体的な学習指導要領の改訂の内容等についての概要を述べました。今回は、その中から、特に大きな改善があった点を中心に述べていきます。
早期からの教育的対応
一 早期からの教育的対応の意義障害のある乳幼児については、早期にその障害を発見し、できるかぎり早期からの教育的対応を行うことが、乳幼児の障害の状態の改善・克服や望ましい成長・発達を促すために必要です。そのため、県内の各盲・聾・養護学校では、学校独自に教育相談係の教員を中心に、空き時間や放課後等を活用して養護教育に関する相談に当たっています。
特に、盲学校や聾学校においては、就学前教室や早期教育相談部等を設け、障害乳幼児を対象とした定期的な『早期教育相談』を行っています。
これらの盲・聾・養護学校の実践を後追いする形で、今回の盲・聾・養護学校幼稚部教育要領及び学習指導要領の改訂では、「盲・聾・養護学校が、教師の専門性や施設・設備を生かした地域における養護教育に関する相談(3歳未満の乳幼児を含む)のセンターとしての役割を果たすように努めること」が新たに規定されました。
二 障害のある乳幼児の発達の促進と保護者への支援
(1) 障害のある乳幼児にとって
障害のある乳幼児に早期から教育的な手だてを講ずることは、可塑性に富む乳幼児の発達やそれぞれの障害に基づく種々の困難や状態の改善・克服等に大きく影響することが明確になっています。特にこの時期は、脳の神経系が著しく発達し、言語理解や言語表出等のコミュニケーションの基盤が培われる時期でもあります。この「発達の最適期」を逃さないように支援を行い、その後の教育に必要な基礎的諸能力の育成を図ることが重要になります。
(2) 保護者にとって
保護者は、我が子の障害に気付き始めたときから、深刻な悩みや不安をかかえ、心理的な葛藤の中で生活し、相談や指導を受ける場がわからず、途方に暮れることも少なくありません。
従って、早期から教育的対応を行うことで、障害のある乳幼児の発達を促進し、障害の状態の改善を図る適切なかかわりの在り方について情報を定期的に提供する等の支援をすることが、保護者に、それぞれの障害についての正しい理解を促し、二次的な障害を予防することができるのです。
表1 盲学校『就学前教室』の主な支援内容
○就学相談
○点字の基礎指導
○歩行指導(音源歩行、手引き歩行)
○日常生活(食事、排泄、衣服の着脱等)の基礎的指導
○家庭でのしつけや養育相談・指導
○視覚障害の理解・啓発 等