教育福島0223号(1999年(H11)11・12月号)-013/48page

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交 流 教 育

一 早い時期から交流教育を

障害のある幼児の経験を広めて積極的な態度を養い、社会性や豊かな人間性を育んでいくためには、できるだけ早い時期から交流教育を取り入れていくことが必要です。このため幼稚部における教育では、学校生活全体を通じて、地域の幼稚園や保育所の幼児をはじめ地域の人々と交流する機会を設け、共に活動し様々なふれあいや出会いの体験を豊かにすることによって、障害のある幼児が達成感や成就感を味わい自分の行動に自信をもち積極的な姿勢を身に付けるようにすることが大切です。

二 交流教育の効果と役割

今回、新幼稚園教育要領及び小・中・高等学校の新学習指導要領に、「……盲学校、聾学校、及び養護学校などとの間の連携や交流を図るとともに、障害のある幼児児童生徒や高齢者などとの交流の機会を設けること」が新たに示され、交流教育が、子供たちの『生きる力』や社会性を育てる上で共通に重要なものとして位置づけられました。

このことにより、小・中学校等では、交流の時間を確保しやすくなったことは大きな意義があると思います。これは、交流教育の効果と役割がこれまで以上に期待されてきた現れといえます。

なお、交流教育については、総則の交流教育に関する規定の見直しを行ったことを踏まえて、「特別活動」においてもその改善が図られています。

聾学校福島分校と福島第四小学校との交流
聾学校福島分校と福島第四小学校との交流


三 総合的な学習の時間と交流教育

交流教育は、現在、学校行事を中心に、児童(生徒)会活動やクラブ活動などの特別活動などで行われています。交流教育を、今後さらに拡充するためには、今回の改訂で新たに示された「総合的な学習の時間」の活用も考えられます。盲・聾・養護学校の学習指導要領の『総合的な学習の時間の取扱い』の配慮事項の中に、体験的学習の一つとして、「交流活動」が記述されています。もちろん交流活動はこの時間だけでなく、様々な場面で積極的に取り組んでほしいというのが前提です。

いずれにしても、子供たちが充実感をもてるような時間、主体的に取り組める時間にしてほしいものです。

四 交流教育の効果

交流教育は、障害のあるなしにかかわらず、幼児児童生徒にとって他の人への思いやりの心や社会に貢献する精神を培うための活動として、その役割はますます重要になってきています。

障害のある幼児児童生徒にとっては、生活経験を広めるよい機会となり、能力を伸長するとともに、集団生活の経験を通して社会性を育てることができます。

また、特殊学級の場合は、一学級当たりの在籍者数が減少傾向にあり、十分な集団活動を展開することが困難になりつつあることから、交流による集団的教育活動を進めることは、有効かつ大事なことになります。

障害のない幼児児童生徒にとっては、他人を思いやる心、互いに認め合い共に生きていく態度、自他の生命や人権を尊重する心、ボランティア精神等の豊かな人間性や社会性を育成することができます。


自 立 活 動

一 改訂の経緯

障害を改善し、又は克服するための特別な領域として、昭和四十六年に盲学校、聾学校及び養護学校共通に設けられた領域が「養護・訓練」です。

その後、「国際障害者年」、「国連・障害者の十年」、「アジア太平洋障害者の十年」など国際的な障害者に対する取り組みが進められてきました。そのような取り組みの中で障害者の「自立」の概念が従来よりも広くとらえられるようになってきたこと、平成五年に障害者基本法の改正が行われたことなど、社会的背景が大きく変わってきました。

このような背景の中で、障害の


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