教育福島0223号(1999年(H11)11・12月号)-014/48page

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ある人々を取り巻く社会環境や障害についての考え方、幼児児童生徒の障害の重度・重複化、多様化等、事態が大きく変化してきていることを踏まえ、今回の学習指導要領の改訂で「養護・訓練」が「自立活動」と改称されました。

二 「自立」のとらえ方

ウエル・ビィーイング(よりよく生きる)ということが自立の根底にあるということが世界的な流れとなっています。そういう意味での自立活動です。

ここでいう自立とは、自ら立つという意味で、経済的な自立とか、社会的な自立とか、身辺自立とかという意味ではありません。

基本的なところでは、寝たきりの子供でも自立はあるのです。

自分の意志で、自分の気持ちや自分の心を表現していくことができれば、それも自立なのです。言葉に表さなくても目だけで表現しても良いかもしれません。手を少し動かすだけでもよいと思います。それが自立の原点と考えることが大切です。

三 個別の指導計画

各盲・聾・養護学校においては、これまでも個別に指導計画を作成して指導するなど、個に応じた指導が実践されてきているところですが、今回の改訂では、こうした自立活動の指導において作成されている「個別の指導計画」について、学習指導要領上の根拠が明示されました。

自立活動の指導計画は、他の領域と異なり、幼児児童生徒一人一人の実態に基づいて個別に作成することが原則です。この場合、適切な手順を踏んで個別の指導計画を作成する必要があります。

自立活動の個別の指導計画作成の手順は次のとおりです。

○個々の幼児児童生徒の実態を的確に把握する。
○個々の実態に即した指導の目標を明確にする。
○指導内容の中から、個々の指導の目標を達成させるために必要な項目を選定する。
○選定した項目を相互に関連付けて具体的な指導内容を設定する。

個別の指導計画は、個々の幼児児童生徒一人一人の的確な実態把握に基づくものです。

実態を把握する視点としては次のようなことが考えられます。

○医学的な立場からの情報に基づく把握
○心理学的な立場からの情報に基づく把握
○教育的立場からの情報に基づく把握
○保護者からの情報に基づく把握

なお、実態を把握するに当たっては、個別の指導計画を作成するために必要な情報に限ることが大切です。また、個人情報の保護及びその管理についても十分留意する必要があります。

県立郡山養護学校

知的障害者を教育する養護学校の場合には、指導方法として領域・教科を合わせた指導を行うことができることになっていますが、この場合にあっても、個別の指導計画において、個々の自立活動の目標、内容を明記する必要があります。


選択教科の拡充

盲学校、聾学校、肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校の中学部においては、中学校に準じて、開設できる選択教科の種類が各学年ともにすべての教科となります。

知的障害者を教育する養護学校においては、社会の変化等に対応するため、中学部及び高等部に「外国語」が、また、職業教育を充実する観点などから、高等部に「情報」及び「流通・サービス」が、それぞれ選択教科として新設されました。「外国語」については、中学部及び高等部で平成十二年度から設けることができます。

ここでは、知的障害教育における選択教科「外国語」の目標、内容等について説明します。

個別の指導計画に基づく養護・訓練(自立活動)
─県立郡山養護学校─

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