教育福島0223号(1999年(H11)11・12月号)-025/48page

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「夢」の実現

秋山美穂

秋山美穂

今年の夏休み、夫と二人で旅行に出かけた。結婚してからまる二年目を迎えようとしているが、わずかな期間に二人で五ヵ国を旅行した。今回はトルコ〜ギリシア〜エジプトである。二人で選んだ国ではあるが、どちらかというと旅は私の趣味であり、夫が私に付き合ってくれたという感じであった。

私にとって趣味の実現は「夢」の実現であり、まさに感動的な世界遺産巡りであった。トルコでは、カッパドキアを目の当たりにして、自然の偉大さと洞窟で暮らしていた人々の歴史に驚くばかりであった。次に、ギリシアでは、やはりアクロポリスのパルテノン神殿は圧巻だった。幻の黄金比に出会えてはしゃいでいる夫の、必死になって沢山の写真を撮る姿が微笑ましかった。そしていよいよクライマックスはエジプトのピラミッドである。私にとっては特に、三大ピラミッドを背景にそびえ立つ、スフィンクスの姿を見たときの感激が忘れられない。古代エジプト人が、どのようにしてこれほどのすばらしい遺跡を渇ききった土地に残すことができたのか、想像すると壮大なロマンが思い浮かび、古代の中にいるような気分であった。

そして、次に目指した「夢」の実現は、子供を持つことであった。只今その「夢」が、私の体内で成長している。母親である私の方は体調が悪く、憂鬱な毎日を送っているのだが、無事我が子との対面を果たすことが現在の最大の「夢」なので、何とか頑張って仕事をしながら生活ができている。

生きるということは大変なことである。楽しみがなくては仕事にしてもその他の様々な雑務もやる気が出てこない。私の場合、常に「夢」を楽しみとして持ち、その実現の日を励みに仕事に専念することが、生き方のモットーである。親しい友人と再会することなど小さなことでもいい、それが生活を続けるために努力することの原動力であり、生き甲斐なのかもしれない。

心の荒んだ悲しい事件の多い現代、未来に輝くはずの子供たちに、教師として、親として、生きることに希望とやる気を持たせてやりたい。「夢」を持ち、それを実現しながら生きていくことの楽しさと、それに伴う努力の意味を教えてやれたら、と思う。

(檜枝岐村立檜枝岐中学校教諭)




子供の願い、親の願い

佐藤才司

佐藤才司

「どうして先生はGパンで学校に来ないの。私はGパンをはいてくるような先生がいい」

十年ほど前、新採用の時に出会った教え子に言われた言葉を時々思い出します。

その五年生の女の子はほんの一ヵ月で転校してしまいましたが、その別れの日に言われた言葉です。この言葉から私は上辺だけで子供と接していたのではないかと考えさせられた思いがしました。「もっと私たちの目線に下りてきて」「私たちに一番近い大人でいて欲しい」そんな気持ちがGパン先生の話になったのだと思います。また、未熟な私に「もっとがんばってね」というメッセージでもあったのかもしれません。

「今の先生は、本気で子供を伸ばそうとしていない。最近の学校の(スポーツ行事での)成績は情けない」

去年の夏、ある保護者の方に言われた言葉がまたショックでした。

子供と一緒に本気で取り組んでいたつもりの私はとても惨めな気持ちになりました。しかし、ここで潰されては自分らしくないと思いました。

東和町はマラソンが有名ですが、町中があばれ山車で沸き立つ体育の日に町内一周駅伝大会があります。町内の七つの小学校も参加し、いわば学校対抗戦になります。私はこの大会にかけてみようと思いました。情熱をもって取り組もうと子供たちに話し、辛い練習に取り組みました。その結果、昨年の大会ではまずまずの成績を収めることができました。

また、今年も私は親子混成チームの選手として駅伝に出場しま


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