教育福島0224号(2000年(H11)1月号)-014/48page

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個を生かし育む「道徳の時間」の創造

〜豊かな道徳的心情を育てる資料の活用を通して〜

大越吾都臣

須賀川市立仁井田中学校教諭 大越吾都臣



一 主題設定の理由

(1)教育の今日的課題から

今日、青少年による犯罪の増加や低年齢化という社会現象が生じている。学校教育の現場においても、いじめや不登校、自殺等の問題が多発し、「心の教育」の重要性が再確認され、道徳教育への期待が高まっている。

(2)生徒の実態から

道徳の時間に関する生徒の意識調査から、道徳の時間の意義を十分理解できていない生徒が多いことがわかった。また、我々教師も、道徳の時間の指導の意義を十分に理解しないまま授業に臨むなど、道徳の時間のもつ本当の役割を十分に生かしていなかったことにも原因があることに気づいた。 以上のような理由から、まず教師自身がその姿勢を省みて、道徳の時間の意義や役割をしっかりと確認し、道徳の時間の充実と工夫に努め、生徒の道徳的実践意欲の高揚を図ることの必要性を感じ本研究主題を設定した。



二 研究の基本的な考え

(1)研究仮説

生徒理解に努め、その生徒の身近にあるものやできごとを題材とした資料を開発・活用し、体験活動と結びつけることで「道徳の時間」の充実が図られ、生徒の道徳的実践力が育てられるであろう。

これらの観点からとらえた「この子」の“よさ”を、道徳の時間における導入や資料、活動や説話の中で効果的に取り入れ「この子」自身が、または「この子」によって他の生徒が生かされ、道徳的実践意欲が高められるよう工夫していくものとした。

2)生徒理解の視点

道徳の授業を行うためにはまず生徒の実態を十分に把握する必要がある。普段生徒がどんなことを考え、どんな行動をしているか、そして生徒にとって今または将来どんなことが必要なのかを次のような視点でとらえた。

○「生活の記録」、学級日誌や学期ごとの反省の記述内容から
○家庭訪問、教育相談での話題から
○各行事や係活動での反省や感想の記述内容から
○道徳の時間に書いた「道徳ノート(心のノート)」の記述内容から
○生徒を取り巻く環境から これらの視点でとらえた生徒の実態を考慮し、年間指導計画


(2)研究の構想及び計画

1)「個を生かす」手立て

学級の生徒一人一人に目を向け、その一人を「この子」として本時に位置付けることとした。そして、その「この子」の“よさ”を次のような観点でとらえ「道徳の時間」の中で生かすこととした。

○「この子」の道徳的価値観や道徳的実践意欲、または道徳的実践力からのよさ
○「この子」の豊かな体験からのよさ
○「この子」の授業への興味・関心、意欲や姿勢からのよさ
○「この子」のもつ多面的な可能性からのよさ


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