教育福島0224号(2000年(H11)1月号)-015/48page

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に沿った授業を展開することとした。

3)生徒の心を揺さぶり、葛藤を導く資料の開発

道徳の時間の資料は、生徒に道徳的価値観について自覚を深めさせるための手がかりとしてきわめて大きな意味をもっていることは、「中学校指導書・道徳編」にも述べられていることである。そのためには生徒の興味・関心を高め、心を揺さぶるような資料を提示することが必要である。資料には次のような条件が大切であると考えた。

○話題性のあるもの
○理解しやすいもの
○身近にある題材でありながら個人的な話題でないもの
○視覚、聴覚に訴えるもの
○感受性に訴えるもの
○生徒指導の機能を生かしたもの
○指導者の熱意と創意工夫が生かされたもの

さらに、道徳的価値観を追究できる資料として、生徒が自分自身の考えや経験と比べ、心の葛藤を引き起こさせる次の条件が必要であると考えた。

○生徒の多様な考え方を引き出せるもの
○人間としての生き方を改めて考えさせることのできるもの
○ねらいに沿って構成されたもの
○指導の流れや計画の中で意図的に提示されたもの

以上のような条件を満たすためには生徒の観察と同時に、道徳の副読本に数多く目を通すことや、TVや新聞、本、雑誌または広告や看板、標語に至るまで、道徳の資料として意識し、ゆるがせにしないことが大切である。

4)資料を生かす指導過程の工夫

先に挙げた資料の条件を満たしていても、その提示の仕方や授業の流れに工夫がなされなければ意味がない。資料が生かされ、そこからとらえられた主題を自分自身の問題として考え、道徳的価値を主体的に自覚させるためには次のような工夫が必要である。

○興味・関心を高める資料提示の仕方の工夫
○資料に内在する価値をとらえやすくするための導入段階の工夫
○生徒指導の機能を生かした授業形態の工夫
○価値を主体的に自覚させるための発問の工夫
○道徳的実践意欲を高める終末段階の工夫
○授業の評価を次時や生活に生かすことのできる指導計画の工夫
○体験活動等に結びつき、道徳的実践力が高められるような総合的道徳学習計画の作成ここに挙げたそれぞれの点は互いに関連し合いながら成り立っているものである。資料の選択・開発、活用に中心を置きながら、それぞれの点に配慮しながら計画的、継続的に研究、実践したいと考えた。

T・Tでの授業風景
T・Tでの授業風景



三 研究の実際と考察

(1)「自然の美しさ」に感動する心を育てる実践

1)生徒の実態

「美しい自然を見て、感動するときがあるか」や「環境破壊問題に関心があるか」というアンケートの質問にはほとんどの生徒が「ある」と回答している。

しかし、実際には自然環境を守るために何か行っているかというと、実践している生徒は少ない。人間は普段の生活の中で、少なからず間接的に自然に対して悪い影響を与えていることがある。自分たちの生活と自然環境の密接なつながりを再確認させ、美しく雄大な自然を愛し、大切にしょうとする心を育てることは、必要なことである。

2)資料について

学校の窓から望む美しく雄大な安達太良山の姿、それを毎日


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