教育福島0224号(2000年(H11)1月号)-018/48page

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LDやADHDの児童の情緒の安定を図り、学習意欲を高めるための支援はどうあればよいか

 〜算数科における遊戯的・体験的な場の設定と活動内容の工夫を通して〜

逸見 健二

保原町立保原小学校教諭 逸見健二



一 主題設定の理由

研究対象の児童は、養護学級に在籍する小学三年生の男子三名でLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)の児童である。

「LD」とは、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と活用に著しい困難を示す様々な状態を指す。その原因としては、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されている。

「ADHD」とは、軽度の発達障害で、感情をコントロールする脳内の神経伝達物質のアンバランスにより、注意集中困難、多動、衝動や感情の統制不全などの行動が見られるものである。

本学級の児童は、このようなことから、学習中、集中力が途切れてしまったり、落ち着きがなくなって教室から出ていってしまったりすることが多い。また、突然興奮した状態に陥り、学習を妨害したり、友達に乱暴したりする様子も見られ、安定した気持ちで集中して学習に取り組むことが難しい状況にある。教師に少しでも注意されると、反抗的で投げやりな態度をとり、教師への暴言なども少なくない。

 また、T児は、二年生までは、ADHDと分離不安障害が主因と推察される「不登校」であった。三年生になり、教師などの支援を受けて登校できるようになったが、学習に対しては強い拒否反応を示して全く取り組むことができず、自分の好きなことをして一日を過ごしている状況である。

このような本学級の児童が、安定した気持ちで意欲的に学習に取り組むようになってほしいと日々切に願っている。

そこで、LDやADHDの児童の情緒の安定を図り、学習意欲を高めるための支援の在り方を実践を通して探っていきたいと考え、本研究主題を設定した。



二 研究仮説

安定した気持ちで集中して学習することが困難なLDやADHDの児童に、算数科において遊戯的・体験的な場の設定と活動内容を工夫し、気持ちや要求を十分に受容しながら、学ぶ喜びや自信、成就感が得られるような支援を進めていけば、心の開放や情緒の安定が図られ、意欲的に学習に取り組むことができるようになるであろう。

《仮説検証のための具体的な方策》

1 多角的・総合的な実態把握

(1)日常の行動記録の累積と分析

(2)医療機関との連携
 1)神経精神科の医師、臨床心理士との定期的な教育相談
 2)心理・教育的諸検査、医学的検査等の実施と結果の分析
 3)薬物療法
 4)社会生活技能訓練(SST)

(3)個別の「教育支援シート」の作成と活用…担任、保護者、医師、臨床心理士で話し合い、作成する。(チームアプローチ)


2 興味や関心の強いアニメのキャラクターを取り入れた遊戯的・体験的な活動場面(ポケモンランド)の設定


3 興味・関心を生かした活動内容や教材・教具の工夫

(1)遊戯的な活動内容の重視

(2)個々の実態や能力に応じた多様な教材・教具の作成

(3)パソコンの効果的な活用


4 LDやADHDの児童へのかかわり方や支援の手立ての深化



三 研究の計画(省略)


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