教育福島0224号(2000年(H11)1月号)-021/48page

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の支援を受けながら楽しく学習に取り組むことができた。

(3)考察

事前に混乱やつまずきの要因を的確にとらえ、それを取り除くよう支援を進めていくことの大切さと有効性を検証することができた。そのことにより、安定した気持ちを持続して学習に取り組むことができるものと考える。

児童が混乱状態に陥ってしまった時は、叱ったり謝らせたりするのではなく、教師は「温顔」で受容的に接し、心の声をじっくりと聞いて、しっかりと受け止めてあげることが大切である。

教師は児童の共感的な理解者として接し、心に響き合う関係を確立することが大切である。


6 第六時「二等辺三角形と正三角形の角の性質」(省略)


7 第七・八時「学習内容の適用と習熟を図る」(パソコン)

(1)授業の実際(省略)

(2)考察

パソコン学習中は、多動、注意の転導性、混乱状態等は見られず、二時間集中力を持続して、課題を意欲的に解決することができた。興味のあることには優れた集中力を発揮するADHDの積極的な面が見られた。

ADHDを障害としてクローズアップするのではなく、彼らの持つひらめき、行動力、発想の豊かさ等を大切にして支援していくことが重要である。

集中して課題を解決
集中して課題を解決



五 研究の成果

1 児童の思いや願いを十分に受け止め、児童の心に寄り添い、「包容力」を持って温かく支援することにより、学習中の混乱状態も少なくなり、教師の支援を受け入れて意欲的に学習に取り組むことができるようになった。

2 本実践を契機として、他教科においても、教師の支援を受け集中して課題解決に取り組むことができるようになった。

3 四年生になった現在は、どの子も学ぶ意欲や自信、成就感を感じながら、大変意欲的に学習に取り組んでいる。

特に、T児の変容は著しく、学校生活や学習の楽しさを十分に感じながら、充実した毎日を過ごしている。学習への拒否感や嫌悪感を取り除き、学習への意欲を引き出した成果といえよう。無遅刻・無欠席で元気に登校しており、「不登校」も改善された。



六 今後の課題

1 今年度(十一年度)は、本実践での成果をもとに、基礎的・基本的な学習内容を確実に身につけていくことができるよう継続研究中である。

2 「通常学級」の中でも安定した気持ちで意欲的に学習に取り組むことができるよう、通常学級との「交流」を通して支援していきたい。

3 保護者、医療機関とより一層の連携を図りたい。

4 LDやADHDの児童に対する理解を学校全体として深め、校内の支援体制を確立していく必要がある。

5 善悪の判断については、機会をとらえて小学校段階で適切に指導する必要がある。

6 LDやADHDについての先進の実践現場を視察研修して、診断・評価・具体的な指導等について、さらに研究を深めていきたい。

通常学級との交流
通常学級との交流


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