教育福島0224号(2000年(H11)1月号)-031/48page

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た。今年度もその成果と課題を踏まえ、英語科の学習とオーストラリアの姉妹校、ケーブスビーチ小学校との国際交流活動を実践しています。

私たちがオーストラリアへ行ったのは、この国際交流活動の一環です。私たち三人は、それぞれ別々の家庭にホームステイをさせていただきながら、オーストラリアの学校生活と、家庭での生活を体験する機会に恵まれました。ホストファミリーの皆さん、姉妹校の先生方はとても親切で、内気な私にも「ハイ!ミスター・ケイトウ」と、陽気に、しかも温かく接してくれました。「なんて素敵な人達なんだろう!」わずか四日間の滞在ではありましたが、私は、すっかりオーストラリアの魅力にとりつかれてしまいました。ゆとりある学校生活、雄大な自然にあふれる大地、そこで生活している人々、全てが魅力的でした。このかけがえのない体験は、私自身が、家族のこと、真の豊かさのこと、日本のよさなど、様々なことについて振り返り、将来のことを考える大きなきっかけとなりました。

そして、秋。木々の葉が美しく彩り始めた十月。今度は、ケーブスビーチ小学校から、六年生の女の子、リアとキーラ、モグ先生の三人が親善大使としてやってきました。好奇心が旺盛で、笑顔の素敵なリアとキーラ。そんな二人に接し、S子とA美は「先生。私たち、リアちゃん、キーラちゃんと話がしたいの!」と私に訴えてきました。この子供の言葉に、私ははっとさせられました。なんとかしてリアとキーラに自分の思いを伝えたい、友達になりたい、という子供の素直な気持ちは、まさに「自ら学ぶ意欲」そのものだったからです。

これらの交流活動を通して、人とのかかわりは学ぶ意欲の大きな原動力になること、子供には自ら学び育つ可能性が満ちあふれていることを実感しました。そして私も、人との出会いやかかわりを大切にし、子供と共に学び続ける人間でありたい、と考えています。

(表郷村立表郷小学校教諭)

イラスト




チャイム


寄り添うということ

西脇陽子

西脇陽子

臨床心理士としての私の仕事は心の悩みを持つ人々と触れ合い対話し、彼等に生きるエネルギーを取り戻してもらう事です。その中で常に感じている事に寄り添うという事があります。人は自分の生命を持ち生きている存在で他人がその生命を操る事などできません。

植物に当てはめてみると分かりやすいと思いますが、一粒の種の中には将来花や実になる可能性がいっぱい詰まっています。しかし、その種がコンクリートの床に投げ出されていたとしたら花や実をつける事はできません。種は土に植えられ水、太陽、肥料等があって初めて実を結びます。

子供も同じだと思います。豊かな人間関係、教育、栄養があって初めて成長していけるのです。

カウンセラーという仕事は、この栄養分を彼等が吸収できるよう寄り添い、心と心の関係を通して見詰め直す作業を共にしていく事です。すると生命は、生き生きとした力を取り戻し自分自身の中にある可能性に気付き、自分の力で成長し命の花を咲かせていけるのです。決して他人が与えたり指導したりすることではないのです。

(いわき市立常磐病院臨床心理士)


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