教育福島0224号(2000年(H11)1月号)-033/48page

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(二)児童生徒との共感や保護者の願いを大切にする。

(三)小・中・高の各学部のつながりを意識した長期目標を設定する。



六 研究の成果及び今後の課題

(一)個別の指導計画作成の実際

個別の指導計画は、各学部や学級の特性を生かして内容を検討し作成したので、それぞれ様式は若干異なる。ここでは、小学部の指導計画を紹介する。(図2)

図2 個別の指導計画(小学部)
図2 個別の指導計画(小学部)

図2 個別の指導計画(小学部)

(二)研究のまとめ

初年度は、各学部単位で、複数の教員による実態把握の方法を中心に研究に取り組んだ。その中で、総合状況関連図を作成することにより、児童生徒のそれぞれの課題の相互の関連性や優先指導課題が浮き彫りになるとともに、指導すべき場面や指導内容・方法がより明確になった。

二年次の今年度は、さらに各学部で内容を精査しながら検討を行い、すべての児童生徒の個別の指導計画を作成した。これまでの研究の主な成果をまとめると以下のようになる。

1)複数の指導者による集団思考により指導計画を作成したので、指導者間の共通理解が図られたこと。

2)児童生徒一人一人の指導目標が明確になり、より具体的な指導が進められたこと。

3)個別の指導計画をもとに小・中・高等部の一貫性がより一層図られ、見通しをもった指導を進めることができたこと。


(三)今後の課題

個別の指導計画を活用し、個に応じた指導内容・方法を充実させるためには、授業での実践的な取り組みが必要となる。

教材・教具や提示の仕方の工夫については、例えば、何気なくならできることが意図的にできるようになったり、容器の中のイチゴを数えるとき、数えやすいように直線上に自分で並べ替えて数えられるようになれば、課題解決の能力が育まれてきたといえる。このような視点で教材・教具の工夫を行い、個に応じた指導内容・方法を実践を通して探っていきたい。

また、指導形態については、題材や児童生徒の実態により、一斉指導を基本とする指導形態の中で、どのように個別指導や能力別グループ指導を導入すれば、より効果があるかを探ることが必要であるが、これについては何より指導者間の共通理解が重要であり、今後の大きな課題の一つである。

評価については、児童生徒一人一人がもっている能力を最大限に発揮し、新しい事柄を学習する期待感やできるようになってきたことが分かる成就感や充実感がもてるような支援を行うことが必要である。その中で、授業の様々な場面を通して個別に評価する方法を探っていくことが三年次の研究の課題になる。



七 おわりに

個別の指導計画は、作成すれば終わりではなく、どのように活用するかが重要である。今後は研究授業等を通して個別の指導計画を見直し、さらに充実した内容のものを作成するとともに具体的な場面での評価や支援の個別化に努めていきたい。


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