教育福島0224号(2000年(H11)1月号)-036/48page

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養護教育センター

障害のある子供の教育相談

地域に根ざした相談システムの構築



一 地域に根ざした教育相談

障害のある子供たちが、地域社会の中で心豊かに生きていくためには、早期からその子供たちにかかわっている医療、福祉、教育等の関係機関が共に密接に連携しながら、バランスのとれた支援をしていく必要があります。

それによって、障害のある子供のよりよい発達が促され、保護者、特に母親が安心して子供を育てることができるようになると考えます。

このようなことから、当センターでは、早期から地域に根ざした教育相談のシステムづくりが必要であると考え、医療、福祉関係機関の相談担当者も含めて、県内各地区において「早期教育相談地域連絡会議」を開催しました。

また、県内の数地区で、保健所や保健センターが中心となって行っている乳幼児育成指導事業「地域の障害のある子供とその母親のための教室」にセンター所員も積極的に参加し、乳幼児期における教育分野からの相談活動と、医療・福祉分野からの相談活動を、それぞれの特徴や機能を生かしながら行ってきました。



二 地域の関係機関との連携による支援の実際

当センターが、地域の関係機関及び関係者と連携を図りながら行った、教育相談の実際について紹介します。

A君 (四歳六か月) の相談から

三歳児健診で言葉の発達が少し遅いと知らされたA君は、保健婦の紹介で「地域の障害のある子供とその母親のための教室」に母親と月一回通いました。

幼稚園入園後、A君は落ち着きがなく、友達と一緒の活動に入れない、まわりの状況を考えないで積木を投げたり砂をまきちらしたりなどの行動が多く目立ち、不安になった母親は、幼稚園の紹介で、担任と一緒に来所しました。


○子供の行動観察や保護者、担任との面接を通して、家庭や幼稚園では、一人遊びが多く、夢中になっているときは、教師や友達の言葉が耳に入らない、ということがわかりました。

一方、絵を描いたり、歌を歌ったり、リズム遊びをしたりするときなどは、自分から積極的に参加していることがわかりました。

さらに、A君の特性を客観的に把握するため、心理検査も実施しました。その結果、認知面の発達にかたよりがあり、物事を言葉で理解するよりも、目でみて理解する方がより得意であることがわかりました。

○保護者の希望で、医療機関でも診てもらいました。CTや脳波検査の結果、脳の発達にアンバランスなところがあるとの診断を受けました。


これらをもとに、幼稚園では「給食の時は、担任がA君の隣に座り、一対一のかかわりが持てる状況を意図的に作る」ことや「絵や工作を通して、A君が自分の作品について話をすることができるようにする」ことなどに配慮をしてかかわるようにしました。その結果、A君は落ちついて活動に参加し、自分で作った作品について、担任や友達に得意げに話をしている様子が見うけられるようになりました。

○A君は、早い段階から「地域の障害のあ




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