教育福島0225号(2000年(H11)2・3月号)-015/52page
福島県立博物館
平成12年度
企画展の概要
◆春の企画展 あるく・うつす・あつめる 松平定信の古文化財(おたから)調査 集古十種
会期 平成12年4月22日(土)〜6月11日(日)
白河藩主だった松平定信は寛政の改革をおこなった人として有名ですが、政治家であると同時に当時一流の文化人でもありました。文化に深い関心を持っていた定信が中心となってまとめた『集古十種』という本があります。甲冑・弓矢などの武器武具、絵画、鐘や碑の銘文など様々な古いモノの情報を、全国各地“あるい”て、“うつし”て、“あつめ”た江戸時代の文化財図録です。全88冊の中に収められた約2,000点の資料の中から現存しているものをあわせて展示し、江戸の古器物集成『集古十種』の世界をご紹介します。
◆夏の企画展 海獣パレオパラドキシア ―1500万年前に生きていた謎の哺乳類―(仮称)
会期 平成12年7月15日(土)〜9月10日(日)
昭和59年に、県北の梁川町の広瀬川河床から発掘されたパレオパラドキシアという化石は、今からおよそ1500万年前を中心とした短い期間に、北太平洋を取り巻く地域に生きていた哺乳類です。絶滅して子孫がなく、その形や生態については謎が多いのですが、体長約2m、海岸に住み、海にもぐって海藻などを食べていたようです。
発掘された化石は、前足を除くほとんど全身の骨がそろっており、特に頭部は完全で、この動物の形態や進化を解明する上で世界的に貴重な標本です。本企画展では、新たに製作した全身骨格模型と共にこの標本を公開し、この動物の全貌に迫ります。同時に、パレオパラドキシアが生きていた時代の、東北地方南部の古環境の復元を試みます。
◆秋の企画展 英雄たちの系譜―ウルトラマンから義経ヘ―(仮称)
会期 平成12年10月7日(土)〜12月10(日)
近世以前の英雄像は超自然・異類異形・悲劇性・悪徳など混沌とした諸要素を抱え込む存在でした。よく知られている源義経と桃太郎の伝承・説話は、共に室町時代に起源を発するものですが江戸・明治・大正・昭和、そして戦後を経て常に世相を反映するものでした。今回の展覧会では多様な「英雄」の変遷を追うことによって、その背景と民衆との関係を掘り下げ、また、伝説や現代のヒーローを通して、時代の移り変わりの中にも我々の心の中に普遍的に存在し続ける一片を考察する契機になることを望むものです。
◆冬の企画展 安積艮斎とその時代 ―門人たちの幕末・維新―
会期 平成13年1月20日(土)〜3月20日(火)
現在の郡山市出身の安積艮斎(1791−1860)は、昌平坂学問所(幕府の学校)の儒学者で、さまざまな著者を残したほかに、幕末にペリー提督が持参したアメリカ合衆国大統領の国書を翻訳した人としても知られています。艮斎の門人は、大名や武士、武士以外の身分の人まで幅広く、その数は2,300名近くにのぼります。門人たちの中には、藩校の先生になったり、激動の幕末・維新期に活躍した人物が多く、また、近代国家の形成期にさらに尽力した人物がたくさんいます。
今回の企画展では、安積艮斎(1791−1860)の足跡をたどりながら、艮斎の影響を受けた門人たちの動向を幅広く紹介します。そして、艮斎と門人たちの幕末・維新期に果たした役割について考えます。
<平成12年度福島県立博物館利用案内>
◇開館時間 午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
(夏期開館時間延長)8月11日(金)〜13日(日)・15日(火)・16日(水)の期間は、開館時間を午後6時まで延長します。
◇休館日 毎週月曜日(ただし祝日は開館)、祝日の翌日(ただし土・日は開館)、年末年始(12月28日〜1月4日)
◇臨時休館日 平成12年6月27日(火)〜28日(水)は、館内点検等のため臨時休館します。
◇常設展観覧料 一般・大学生260円(210円)、高校生150円(120円)、小・中学生100円(80円)
※( )内は20名以上の団体料金です。料金が新年度より変更になる場合があります。
◇企画展観覧料 それぞれの企画展ごとに料金を設定しますので、ご来館に際しては電話等でご確認ください。
※学校・公民館等の団体は、事前(1週間前まで)の申請により、観覧料の割引(減免措置)が受けられます。