教育福島0225号(2000年(H11)2・3月号)-027/52page
二人の先生方の前途が洋々たることを祈るとともに、私に初心を、宝物の言葉を思い起こさせてくれたことに感謝するこのごろです。
(いわき市立江名中学校教諭)
ボランティア活動で学んだ事
佐久間辰一
私は四年前から、休日等を利用して地域ボランティア活動に参加している。ひまわりでも植えて、地域を花で飾ろうという事で始めた活動も年々拡大し、組織も大きくなり、老人会や母親クラブ、子供会の協力も得る様になった。植える花も、コスモス、山つつじ、アジサイと広がってきた。
一方、ひまわりを使った村おこしもはじめる事になり、種子から油を搾ったり、幹で杖を作ったり、花びらや種子を使ったひまわり染め、フェスタの開催等、“ひまわりの里”づくりを進めている。活動そのものは地道であるが、多くの収穫を得た。
一つには、多くの方々の協力により、二万本のひまわりを植える事が出来、夏には道行く人にひまわりの花を楽しんでいただいた。
二つには、地域内における老若男女の交流の場が出来た事である。今日、核家族化、共働き、高齢化等が進み、世代間交流が少なくなり、いろいろな社会問題が出ている中、ひまわり植え等の作業を通して、世代を越えた交流が図れた事は、大きな成果であると思っている。
三つには、ボランティアに対する地域の考え方が変わって来た事である。ボランティアとは見返りを求めず、人の為に何かをする事で、一方的なものであると考えられてきたが、実は行ったことが、自分の為にもなっており、楽しいものであるという考えに、私をはじめ多くの方がなってきた。結果として、自分たちの地域は自分たちの手で何とかしようとする空気になって来ている。
四つには、地元の高柴山山開きやフェスタ、文化祭等をとおして、多くの方々との出会いが生まれた。今後は、二〇〇一年の未来博にも参加したいと意気込んでいる。
これからの地域おこしは、「今までの様な特産品作りばかりではなく、いかに特色あるボランティアを進めるか」であるとの記事を目にした事があるが、今それを実感する。
間近にせまった週休二日制や生涯学習時代の中で、子供や老人の活動の場としての条件整備が必要な時、ささやかではあるが、更に一歩進んだ、新しいボランティア活動に取り組んでいきたい。
(県立小野高等学校教諭)
一段こし
武藤和弥
「あっ先生、一段こしだ」あー、またやってしまった、階段の一段こし。「ごめん、ごめん。ちょっと急いでいたから」
今から十数年前、新採用教員として赴任した高郷村立高郷第二小学校揚津分校でのことである。ここは、一年生から四年生まで全校生八人の小さな学校で、私は三年生五人と四年生一人の複式学級の担任になった。
何事も初めてという私にとっては戸惑うことばかりであった。特に社会科は、三・四年生が一緒に四年生の教科書を使い学習することになっていた。
四年生の社会科は「地域学習」といわれるものである。そこで、私は、「日常生活に必要なごみ処理や水道」の学習の時に、どんなことを調べてみたいか子供たちに問いかけてみた。
しかし、そこで子供たちから返ってきた言葉は、「先生、うちではごみはみんなうめるんだ」「水はうらの清水からくるんだ」という予想もしていないものだった。この地域は、不燃物を月に一度収集するだけであり、飲料水も湧き水や井戸水を利用していた。教科書どおり教えようとしていた私は、ここで行き詰まってしまった。