教育福島0225号(2000年(H11)2・3月号)-030/52page

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バランスの大切さ

川音彰子

川音彰子

「おはよう」毎朝、昇降口で一人一人生徒に挨拶する。「おはようございます」と元気な声が返ってくる。「あっ。今日もまた菓子パンだ」昼食のために菓子パンを持ってくる子がけっこういる。この成長期に、活力源の一つである昼食をほとんど毎日のように菓子パン二つくらいでいいのだろうかと思う。このことは決して欠席日数と無関係ではないと思っている。

今まで多くの生徒を見てきて、心が安定していて落ち着いた生活をしている子はきちんとした食生活をしている。食事に偏りがあったり、不規則な食生活をしている子は、体の不調を訴えることが多いばかりでなく、心も不安定のように思う。バランスのとれた食事を毎回とることで健康な体と心が培われると思う。また、生活リズムのバランスも大きく人格形成に影響すると思う。人間の体は本来、朝起きて夜寝るように作られている。それが昼夜逆転の生活をくり返していると、体内時計が狂ってくる。そうすると、日中の活動に支障をきたすばかりではない。まして、夜中までテレビゲームやテレビと一緒に生活していると、無機質なものを相手にしているせいか、考え方が閉鎖的になっていくような気がしてならない。さらに、家族のバランスも大切である。つまり、父親と母親の役割のバランスがとれていれば子供の心は常に安定しているし、たとえ、困難にぶつかっても自分で対処できる力を備えていると生徒を見ていて思う。そして、学習においても、得意、不得意があるのは仕方ないと思う。しかし、この成長期にバランスよく学習しないと物事を総合的にとらえる力が身に付かず、広い視野から物事を考えることができなくなってくると思う。やはり、どの教科も、どの教育活動も一生懸命に取り組むことはとても大切であると思う。

心も体も健康な生活を送るにはこのようにあらゆることのバランスということがとても大切である。これらのバランスさえ保っていれば、心豊かな、そして、充実した生活を送ることができると私は確信している。日頃、このことを強く実感しているので、私の一日は我が子らのためのお弁当作りから始まるのである。

(三春町立三春中学校教諭)


チャイム

カルデロン小学校を訪ねて

根本華枝

根本華枝

三年前、調査でマニラを訪ねた。その折立ち寄ったのがカルデロン小学校、スモーキーマウンテンで有名なスラム街を擁するトンド地区にある。今年一月、約束のピアニカをもって再度訪問した。(郡山市立薫小PTAの協力で、ピアニカ二十個他文具を頂いた)

小学校は冬休み中にもかかわらず先生と子供たちが歓迎してくれた。

ピアニカの伴奏で私たち一行十八名のインスタント合唱団が「ふるさと」を歌えば、子供たちはプロ顔負けの歌唱力で歌を又民族の踊りを披露してくれ、最後には、「ドレミの歌」「聖夜」をタガログ語、日本語混語での大合唱となり、一体化したような感じであった。校長室では、手作りのパンシット(焼きそば)やコーラ、バナナ等ご馳走になりながら、「私たちの学校は日本のように豊かではないので充分な設備が整ってはいないが、教育の内容は個々の子の個性を伸ばすよう努力しています」と校長先生からお話をいただいた。又「日本の子供たちの自殺が多いのは悲しいですネ……」とも。

生き生きした子供たちの瞳に身も心も軽くなり、「又来て下さい」の言葉に又訪ねたいと思っている。

(郡山市社会教育委員)


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