教育年報1956年(S31)-004/73page
十月定例会の会議録をのぞいてみよ
う。
十月十一日から二目間で、場所は教育
委員会室、全員が出席となっている。
まず教育長が、前回の会議以来の処理
済みの重要条件について報告して委員の
了承をもとめるわけである。
なるほど教育委員会は、教育事務につ
いての執行機関である。しかし委員は非
常勤だからふだんの仕事は大きく教育長
にまかせられることになる。だから、一
般的な方針は教育委員の手で、その方針
に基く処理は教育長の手によって行われ
るといろ委員会行政のあり方が生れてく
るわけである。
それでは今回はどんなことが報告され
ただろうか。
1市町村教育委員会教育長の任命承認
について
2知事の権限に属する事務の一部の委
任及び補助執行させることの決定につ
いて
3会津農林高等学校西山分校の焼失に
ついてなど七件であった。
ついで諸陳情についてどうするかが審議
される。「住民につながる教育行政を」
というのが教育委員会制度のねらいであ
るだけにこの陳情をとおして反映される
県民の声は教育委員会にとって貴重な
「窓」といろことができる。
いよいよ議案の審議に入る。議案第一
号より議案第六号まで熱心な討議が続け
られる。
教育長の提案理由の説明、各課室長の
補足説明、質疑討論、採決こうして一つ
一つの議案が決定される。
こうして決定された方針によって事務
局は事務を執行していくのである。
最後に次回の日程が論議され、また雑
件として県内視察のことが話題にのって
二日にわたる会議は終りをつげた。
これが会議録にあらわれた活動する教
育委員会の生態である。
こういう会議が定例会として毎月一回
必要ある場合は随時に臨時会が開かれ
るo
二、反映する県民の声
−陳情書のなかから拾う−
教育委員会は合議制の行政機関であ
るoそれは、教育行政について民意に即
する公正な意思を確保しようとする考え
方に基ずくものである。とすれば、県民
の声を反映する諸陳情の実際を知ること
は大切なことである。
諸陳情の中にどういうものがあり、そ
れはどういう問題点を包んでいるのであ
ろうか。
教育委員会への民意の反映はどう行われたか四月〜一二月陳情調
受付月日 件 名 提出者(略記) 採 否 4.14 鹿島町立真野中学校屋内体操場建築について 町長外二 保留 〃 安積高等学校第二部運動場拡張について 湖南村長外一 採択 4・16 郡山盲ろう学校寄宿舎の設備拡充について 父兄 〃 4・26 小名浜高等学校図書館建築について PTA会長外一 〃 〃 相馬農業高等学校家庭科別科の全日制切替並 市長外七 保留 びに鹿島分校の農業土木科設置方について 5.7 塙高等学校運動場整備について 町長外一 採択 5・21 県立図書館建築促進方について 県図書館大会長 〃 5・25 磐城市立泉中学校屋内体操場建設について 市教育委員会 保留 5・31 平盲ろう学校校舎及び寄宿舎新築について 市長外三 採択 6・4 近津中学校屋内体操場建築について 近津建設促進会々長 保留 6・28 司書教諭講習開催方について 県学図研究協議会長外一 採択 〃 若松商業高等学校農業独立校舎建設について 農業科独立校舎期成会長 保留調査研究 〃 雪害費、燃料費、旅費の増額について 会津高校PTA連理事長外三 採択 〃 高校教育予算の確保について 県高校PTA連会長 〃 〃 各種振興法に基く県費負担の確保について 県高校PTA連会 〃 7・2 教育費予算の確保についてその他 中学校長会長 保留調査研究 〃 地財法適用下本県義務教育の適正についてその他 小学校長会長 〃7.13 教員定数並びに給与費について 県小中学校長会長 一部不採択
〃保留8・2 滝根中学校増築について 町長 条件付採択 8・3 県立高等学校の統廃合阻止についてその他 県高校PTA連会長 一部採択 〃 保留 〃 処理済 〃 僻地教育振興について 県山村教育研究会長 〃 採択 〃 保留