教育年報1957年(S32)-001/71page

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第一章総説

第一節新教委法による教育委員会第一、一年目を

迎えた県教育行政

 昭和三十一年十月、地方教育行政の組

織と運営に関する法律にもとづく教育委

員会が発足して新しい地方教育行政の態

勢が確立された。

 昭和三十二年は、教育の政治的申立の

確保、地方教育行政と一般行政との調

和、都道府県および市町村の連絡提携に

よる教育行政制度の樹立等、新教育委員

会制度の目標に向って万般の姿勢を整え

るときであった。

一、教育委員会の努力目標

 教育委員会は、教育行政の効率的な運

営をはかるため、昭和三十二年度県教育

委員会の努力目標としてつぎの六項目を

設定し、関係各課がこれにむかってその

実現ならびに徹底に努力した。

1県、市町村を通ずる教育行政の一体

 化

  市町村教委に対する県教委の立場を

 明らかにし、積極的な方針のもとに指

 導助言に当った。

 (1) 市町村教育委員会の主体性確立

 (2) 事務局組織の強化

 (3) 教育委員、教育長の報酬改善

 (4) 委員会の職務権限の明確化

 (5) 事務局職員の研修の強化

 等について具体的な目標の・もとに努力

 した。

  すなわち九月二十二日県下教育長会

  を開いて文部省初中局長木田家氏の講

 演「市町村教育委員会の権限」をき

 き、十月県下四ブロックに教育長なら

 びに事務局職員研修会を開催し、女部

 省初中局地方課湯上二郎主事はじめ本

 庁各課室長、係員が指導助言に当っ

 た。また反面市町村教育委員会に関す

 る教育財政上の問題について県地方課

 との懇談会を開催、市町村財政指導の

 根源において解決の歩を一歩進めた。

  前年度来新法による教育委員会の自

 主性が批判されておったがここ一年間

 の立直りは著しいものがみられた。市

 町村教委は当該市町村の教育行政を自

 分の責任において推進しようとする姿

 勢が確立された。

  しかし依然として事務局組織は劣扇

 であり大半の教育委員会はその機能を

 充分に発揮する態勢にまではなってい

 ない。さらに今後に残された課題であ

 るというととができよう。

2 児童・生徒の学力および体位の向上

  全国学力調査にみられた本県学童の

 学力水準については、三十一年九月実

 施の国語・算数ならびに昨年度実施の

 社会・理科各教科の成績は全国平均を

 下まわり、必ずしも楽観を許されない

 状態にあることは否定できない。昨年

 は前年度に引続いて学力の向上を目標

 に掲げ

(1) 授業時数の確保につとめ完全授業

  の実施をはかった。

(2) 高校の学校訪問の効率的運営

(3) 教職員の研修行事の強化

(4) 研修資料の編纂発行等かなり徹底

した指導活動を続けた。

   また学童の体位のうち身長は相当の

  増加をみているがこれのみで体位の向

  上と断ずることはできない。

  教育行政、教育財政等各課の総力が

  すべてこの一点に集中して統一的に運

営されたかどうか充分反省検討する必

  要があろう。

   ことに教職員の適正配置と資質の向

  上について合理的、継続的な施策が講

  ぜらなければならない。

3 青少年活動の育成と生活指導の強化

  青少年活動の育成はことに自主的な

 学習の振興と青年学級の充実に力を入

 れたのであるが、その結果県下各地に

 青少年団体リーダー研修会がもたれこ

 ども会4Hクラブ青少年団体や音楽演

  劇等のサークル活動が盛り上ってき

  た。同時にまた青少年指導に対する市

  町村の関心が非常に高まってきた。し

  かしながら全般として各市町村におけ

  る青少年指導費、施設設備の状態等が

  またまだ不じゅうぶんであり、指遺体

  制も整備もじゅうぶんでなく県、市町

  村教委はさらに連絡提携を緊密にして

  諸問題の解決に邁進しなければならな

  い。

4 高校教育の再編成と施設設備の実施

  昭和三十二年は高校教育の体制をつ

  くるための再編成五か年計画第二年目

  であった。

(1) 実業教育の振興

(2) 小規模学校の統合促進と学科課程

   の再配置

 (3) 定時制校の合理的配置

 (4) 人口動態にもとづく学級の増減

  等四項目を掲げて努力した。

   特に工業科・商業科の適正配置と内

  容充実等実業教育の振興ならびに普通

  科の適正配置と施設設備の充実とくに

  学校差をなくするようにつとめた。

   今後はさらに従前の計画を推進して

  普通科・実業科の適正な配置を強化す

  ると共に内容充実に通達しなければな

  らない。なお最近の著しい状勢として

  都市集中の傾向があるのでとくに周辺

  校の充実を図っていかなければならな

  い。

5 盲ろう教育の整備充実

   本県の盲ろう教育は遺感ながら全国

  的水準からみて誇ることのできるまで

  にはいっていない。

   ことに盲ろう分離ができないのは本

  県と青森県だけである実情から推して

  今後の課題は多いといわねばならな

  い。しかしながら福島盲ろう学校の校


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