教育年報1957年(S32)-007/71page
村において慣例とか、口約束とかで行
われている趣がみられる。
○条例、規則の根拠法令またはこれに
対する理解または必要感が乏しいとい
うところに問題があるようである。
(4) 財務事務の諸問題について
○各市町村の予算編成の際、教育委員
会がどのような立場にあるか、また正
規の任務をどう果すかについては長側
にも委員会側にも明確を欠く面がみら
れる。
○ことに予算執行についての委任また
は補助執行の手続きがとられていない
市町村が極めて多く、それに関する事
務が渋滞して現場の教育活動を低下さ
せている現状もまま見られる。
二 研修行事の概要
(1)研究主題
○市町村委員会の教育予算編成に関す
る意見提出をどうずればよいか。
○市町村委員会は学校管理をどのよう
に行えばよいか。
○市町村委員会の事務局強化をどうす
ればよいか。
(2)地区、会場、期日
(イ) 会津地区 若松市 10月17・18日
(ロ) 県北地区 二本松町 10月22・23日
(ハ) 浜通地区 浪江市 10月25・26日
(ニ) 県南地区 熱海町 10月28・29日
(3)参加者
教育長および事務局職員
(イ) 会津地区 八○名
(ロ) 県北地区 三〇名
(ハ) 浜通地区 五〇名
(ニ) 県南地区 八○名
(4)指導者
文部省初中局地方課
主事 湯上二郎
県教委秘書室
室長 三本杉国雄
外事務局職員 計七名
(5) 反省
○企画運営共に出張所行政主任の協力
を得たので立案、運営共に円滑かつ効
果的であった。
○研修資料をじゅうぶん用意したのは
効果的であった。
○教育長の研修内容と事務局職員の研
修内容とがじゅうぶん吟味されること
が必要である。
3 市町村教委に対する指導、助言上の
問題点
(1) 事務局構成の適正化。
(2) 財務事務処理の合理化
(3) 委員会の職務権限の明確化
三 結 ぴ
勤務評定その他相つぐ教育上の問題が
続出している最近の情勢からして真にあ
らゆる面からの不当な支配を排除し、し
かも地方自治の教育行政をどうすすめて
いくか、とかく任命委員制度に対する批
判のある今日県教委、市町村教委が一体
となって新法の趣旨実現に努めなければ
ならない。
第二章教育財政
第一節県財敗と教育費の関係はどうなっているか
地方財政の赤字を解消し、健全財政の
地方自治を確立することは、昭和二十九
年前後から中央、地方を通じての緊急な
政治課題の一つであった。
そのため、国は地方財政再建促進特別
措置法を公布したが、本県もこの法律の
適用をうけて二年目、昭和三十一年度決
算にみる概況は、最終予算に対して九八
・九一%の決算額であった。
このうち、教育委員会所管の経費につ
いてみると、県予算総額の三三%を超
え、決算においてはさらにこれを上回っ
た。
しかしながら、教育費の九三・七七%
は人件費であり、物件費とその他の経費
を除く投資的経費は三・八〇%に過ぎ
ず、さらに災害復旧事業費を除くと三・
二六%である。
以下昭和三十一年度決算の詳細と昭和
三十二年度現計予算および昭和三十三年
度予算についてその概況を述べる。
第二節昭和三十一・二年度の教育費
昭和三十一年度の決算概況は、
福島盲ろう学校の火災による災害復旧費および
図書館建築費以外は、前年度に比して二
%程度増加した。これを性質別にわけて
その構成比をみると、
前年度 本年度
消費的経費 九八・三% 九六・二%
人件費 九五・二 九三・八
物件費 二・五 二・二
その他 〇・六 〇・二
投姿的経費 一・七 三・八
であった。また、主なる経費について
前年度と対比してみると、
前年度との差増 比率
基本給 一〇九、四七五千円 二・九%
手当 五九、 五一八 六・四
旅費 △八、 二三八 △一一・九
需用費 七二二 一・二
補助及交付金 △二〇、六九二 △六八・八
普通建設費 九二、五〇五 九八・六
災害復旧費 三〇、四〇〇 一〇〇・〇
であった。