教育年報1957年(S32)-031/71page

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において十二月から正常な授業を開始し

た。その後三十二年五月、仮校舎敷地

(五一〇三坪六四、建坪二五四五坪)

は、同校の直接管理するところとなり、

十一月から盲学科校舎の建築にとりかか

った。

 この建築は、第一棟鉄筋二階だて一九

教室、第二棟鉄筋二階だて六教室、木筋

平や六室で、三十三年四月に完成の見込

みである。

 盲ろう教育に関する研究会は、つぎの

とおりである。

1 口話(こうわ)教育講習会

 時三十二年七月二十二日

 所  郡山育盲う学校

 主催 県教委事務局

 講師 川本宇之介氏(元東京教員ろう

    学付属盲ろう学校長)

 参加者 各盲ろう学校ろう学科教員

2 盲ろう教育研究会

 時三十三年二月一日

 所  郡山盲ろう学校

 主催 福島県盲ろう教育研究会

 (後援県教委事務局)

 主題 (1)三十二年度努力事項の反省

    (2)三十三年度教育計画につい


なお、盲ろう学校教員の研修についてふ

れてみたい。三十二年度は、各学校とも

教育課程の整備に全力をあげ、これに関

連して活発な校内研修が行われた。この

仕事は、少なくとも三年間くらい継続

し、充実した内容のものにしたい。つぎ

に盲ろう学校教員の専門教養については

研修の機会が非常に少ないので、県教委

事務局としては三十二年度の口話教育に

引続き、毎年この種の研究会、講習会を

開催、できれば単位付与(免許状関係)

の措置をすることが要望されている。

第四章 社 会 教 育

第一節 戦後の十二年をかえりみて

県費における変遷のあと

 左表を見ていただきたい。これが県費

における社会教育費の足跡である。

 額面の上からいうと、昭和二十五年度

を頂上にして、そこから下降し始め、遂

に昭和三十一年度におよんで、そのドン

底に達ずる。県民一人あたり一円六〇銭

足らず、これで社会教育行政・文化振興

・文化財保護等等、なんでもやれという

のである。

 県の教育費は九五%から九六%まで人

件費だという。物価指数に比例してこの

給料はだいたいにおいて上昇しているの

であろうが、さて、その残りの物件費は

どうなっているのか。こんなこともこれ

から明確にしていかなければなるまい。

 しかし、何はともあれ、新しい県立図

書館の建設が始まったので、このことは

喜んでいる。ほんとうに後世に残して恥

かしくないものにしたい。

 参考までに、県費にあらわれている予

算要求の項目を上げておいた。との項目

のわけ方を見ると、わたくしが、戦後の

社会教育を四ッの段階にわけようとして

いることが、決して無理でないことがわ

かっていただけると思う。

第一期 一九四六〜一九四八(発芽期)

    (昭・21) (昭・23)

第二期 一九四九〜一九五一(陶酔期)

    (昭・24)(昭・26)

第三期 一九五二〜一九五四(動揺期)

    (昭・27)(昭・29)

第四期 一九五五〜一九五七(沈滞期)

    (昭・30)(昭・82)

この十二年間を人間にたとえて見ると、

第一期は乳児期・第二期は少年期・第三

期は青年期・そして第四期は人生のなか

でもっとも長い期間を保つべき壮年期を

飛び越して、一度に老衰期に入ってい

る。なぜ、こういうふうに分けるか、と

いう理由について詳説する余裕はない。

 しかし、このことは日本という社会の

変化にともなう変化であるには間違いな

い。第一期は敗戦から教育委員会が誕生

する昭和二十三年の末まで、第二期は新

しい新育委員会が組んだ予算で発足し、

その年には社会教育法が誕生した。昭和

二十六年は、大さわぎを演じて結んだサ

ンフランシスコ平和条約・社会教育の面

では社会教育法が改正されて、あらたに

第二章に社会教育主事および社会教育主

事補の制度が確立ざれた。第三朝は曲り

なりにも独立できた日本が、国政にも県

政にもチグハグな足どりを示す。当初予

算などは、県費に関する限り、単に紙に描

かれた文字に過ぎない。昭和二十九年、

遂に課員は二十二名に減る。第四期とい

うのは、赤字県を大ッピラにして、社会

教育施設を市町村とともに造っていくと

いう仕事を、当初予算の中から完全に取

り除いた時期であり「環境整備」という

社会教育行政の本質を投げ出さざるを得

なくなった。

 こういう変化にもかかわらず、市町村

の社会教育費は徐々に増え、昭和二十五

年度を一〇〇とする県全体の社会教育費

に対して、もっとも低い数字を示すだろ

うと予想される昭和三十一年度におい

て、一五四という数字をあらわしてい

る。このことは市町村の社会教育費が、

決して県のように下降しているのではな

いという事実を物語る。


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