教育年報1958年(S33)-017/83page
§ 4 学 校 教 育
1.教職員の人事
A 小中学校
a 昭和33年度末人事の概観
本年度末人事異動に当っては,市町村教委をはじ
め関係方面の協力を得て教職員の適正配置をはかり
教育能率の向上を期した次第であり,その内容の主
なるものをあげると
(1)異動件数は,小中合せて2,724件で異動の範
囲は,教育行政上の効果を重視して,必要最少限度
に止めるよう努力した。
(2)中学校生徒の自然減にともなう教員定数減に
ともない,319名を小学校に,39名を高等学校およ
び盲ろう学校に,それぞれ配置替いをするとともに,
小中高学校種別間の交流も図ったが,これが計画実
施については,学校運営に支障をきたさぬよう配慮
した次第である。
(3)へき地と平地,都市と農村の交流については,
例年計画的に実施してきたところであるが,その数
は600名におよんでいる。
(4)新採用についは,自然退職が昨年の約3分の
1の55名に止まり,従って新採用者は近年になく少
数であった。
(5)本年度末退職された方々の数は,校長を含め
216名であるが,これらの方々の多年にわたる本県
教育界に貢献されたご功績に対して深甚なる敬意と
感謝を捧げる次第である。
なお退職年金の引上げを若干でもでき得たことは,
喜ばしいことである。
b 新採用について
今年度本県教職員採用志願数は,大学新卒者およ
び一般採用志願者をあわせると小学校385名,中学
校932名に達した。
新採用数は,志願者数に比して遺憾ながら少数に
止まったが,採用にあたっては厳選主義をとり,適
格者をあつ旋するという方針のもとに身体的諸条件
の審査,面接および筆答試問を実施し,県下各地教
委にあつ旋する資料を整備した次第である。
この計画ならびに実施にあたっては,本年度は特
に人物の厳選ということに相当の努力がはらわれた
が,新採用方針の実現のために当を得た措置であっ
たと思われる。
例年のことではあるが,新採用のあっ旋に当って苦
心することは,女子新卒者のあっ旋である。採用に
あたって各地教委一般の傾向として,男子新卒者が
優先的であり,女子新卒者の優秀な者が多数未採用
になることは,今後の研究課題である。
今回新採用方針実現のために,県教委のとった方
法についての意見を総合すると,採用志願者全員に
ついて,一般教養,教職教養,専門教養を課し教育
職員として必要な全領域について試問し,その結果
にしたがって特に人物,学校,健康等について面接
し,厳密に選考して優秀な者からあつ旋したことは
合理的な方法であった。がしかし,県教委は,今後
未採用者の採用について努力し,県教育界に清新に
して発辣たる空気を漂わし,教育効果と能率をあげ
ることに一段と努力すべきであるとの声もある。
c 校長の新採用について
本年度の校長採用志願者数は,398名で昨年度よ
り13名の減となっているが,新校長として抜てき採
用されたものは,小学校33名,中学校16名で昨年の
32名の新採用者と比較すると17名の増である。
なお49名の新採用校長中高等学校から4名の抜て
きをみたことは,小中高の教育上の関連よりみて,
望ましい人事であった。
校長の新採用については,資格・人物・実務・健
康・家庭環境等について綿密に選考し,有能者を抜
てきするという方針のもとに,また採用にあたって
は,その地域に居住し,校長職に専念できるものを
第一義とし,なるべく他管内にあっ旋し,もって県
下全域にわたって,教育の能率向上と刷新充実を図
るよう努めた。
選考にあたっては,校長新採用志願者全員に対し
て,各出張所管内ごとに同一問題について,同日同
時刻に県下一齊に筆答試問を実施し,有能適格者の
選考抜てきに努めた。
筆答試問の内容は,校長としての適格性と,学校
経営上基本的に必要な問題を課し,校長職としての
理解と判断と能力を評価することに努めた次第であ
る。
d 人事の交流について
校長の交流については,校長職の重要性を特に考
慮し,全県的立場から適材適所の配置を考えながら
清新の気を注入する意味をもって,広域にわたって
行うよう配慮した。
教職員については,へき地と平地との交流,都市
と農村との交流,他管内,学校種別間の交流を推進
し,教育効率の増大をはかる意図のもとに円滑な交
流が行われるよう地教委に対しあっ旋せん助言をし