教育年報1958年(S33)-037/83page

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§5 杜 会 教 育

1.概  要

       ☆

 敗戦後における本県の社会教育活動を反省してみ

ると,次の4つの段階にわけられる。

 発芽期 昭21〜23

 陶酔期 昭24〜26

 動揺期 昭27〜29

 沈滞期 昭30〜32

   ?    昭33〜

 そして33年度はどうしてもいままでとは違った新

しい時期に入らなければならないことを予告した。

昭和33年度は果して社会教育にとってどういう年で

あったろうか。

      ☆

 昭和33年度を国との関係における行政面からだけ

みると,2つの大事なことがあった。

 その1つは,地方交付税の積算基礎となる「基準

財政需要額」の中で,国は都道府県の社会教育担当

者を2名増加することを認めた。いうまでもなく都

道府県の「基準財政需要額」における標準人口は170

万であり,本県はナマの人口で210万,これをいろ

いろな方法で補正すると220万とおおざっぱにいう

ことができる。170万の標準人口に対する2名の増

員であるから,220万の人口をもつときそれを上回

ることは今更申上げるまでもない。

 できれば,(1)「基準財政需要額」の中で国は最少限

度どういう社会教育担当者をどのくらい必要と考え

ているか。そして(2)実際に本県がかかえている社会教

育担当者は,国が考えているものとどのような「ひ

 らき」をもっているか。時間をかけて明らかにして

おきたい気もする。しかし,そうすることはいろい

ろな点であたりさわりもあるので,ここではふれな

いことにする。

 それでは東北の近県と比較したとき,せめて指導

担当のいわゆる社会教育主事および社会教育主事補

はどういう状態になっているだろうか。このくらい

のことははっきりさせておきたい。

 32年度においては,社会教育主事と社会教育主事

補の両者をあわせて調査したのであったが,社会教

育主事だけに限っていってもまた社会教育主事補

を合わせていっても,人口の遥かに少い青森県や秋

田県や山形県よりも少数である。33年度は社会教育

主事だけについてみたのであるが,まず数の点から

あまり弱体であるといわざるをえない。

  32年度 33年度
県名 人口 社会教
育主事
社会教育
主事補
社会教育
主事のみ
青森 1,382,523 5 8 13 7
岩手 1,427,097 15 1 16 15
宮城 1,727,065 10 0 10 10
秋田 1,348,871 5 4 9 7
山形 1,353,649 12 15 27 12
新潟 2,473,492 17 5 22 17
茨城 2,064,037 9 0 9 9
福島 2,095,237 4 3 7 4


 そこで,過ぎ去ったことはどうにもならない,と

いうような「あきらめ」は戒めたい。むしろ,繰返

し繰返し執勘に頑張るべきものと考える。

 昭和26年8月9日の文部次官通達を思いおこして

いただきたい。冒頭に申上げておいたように,この

時代はGHQのお蔭で夢みるような陶酔期であった。

遠い将来などをみきわめる力が不足していた。だか

ら折角の次官通達も多くの人々の目にふれることな

く,机の中にぬくめられていたきらいすらあった。

 その要点だけを記しておく。

社会教育主事の給与等について

     (通達)

1.社会教育主事の給与

  ……(前略)指導主事と等しく

  ……(後略)

2.社会教育主事の定数

  ……(前略)各都道府県教育委員会事務局

  に7名,各地方出張所に1名を考えていま

  す。(中略)……すでに地方自治庁および

  地方財政委員会の諒解済みであります。

 給与の点について現に指導主事と何ら差別待遇を

うけていないが,数という点ではあまりにも寂しい。

ここで注意していただきたいことは,地方出張所16

をそのまま認めているのではなく,やはり「基準財

政需要額」の中で認めている標準人口府県の7出張

所とみるのが正しい。

 右のような状態であるから,当然33年度は社会教

育指導担当者の増員を要求した。しかし,実現はし

なかった。

 もう1つの大事なことというのは,すでに世間を

さわがせた「社会教育法等の一部を改正する法律案」

が国会に提出され,現に審議されつつあるという二

とである。下記にその改正の要点のみをあげておく。

改正の要点

1)社会教育主事および社会教育主事補


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