教育年報1958年(S33)-039/83page
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社会教育主事の活動は,公民館主事のように住民
にジカに接するよりも,むしろ公民館長や公民館主
事をとおして接する。だから,よほど勉強をしてい
ないと,浮き上るか,そうでなければ官僚化する危
険すらある。ある人は「芸者のようなものだ」とい
う。お座敷がかかってはじめて動く性質のものであ
る。
お座敷のかかり方にいろいろある。それがつまり
「求めに応ずる」の意味である。教育長に求められ
たら,その市町村の社会教育計画原案を出せるほど
の成長もしておきたい。公民館長に求められたら,
その公民館の実態を診断して,何か公民館長の参考
になる意見ものべられるように努めたい。青年学級
や民主的な団体の講師になって出ていくような仕事
は,できるだけ避けるのが本当だ。そうすれば,
(1)ナワバリ根性
(2)ミテクレ根性
(3)ヌケガケ根性
といった官僚主義は頭をもたげないだろう。
昨年度の調査によると,13市の教育委員会事務局
には,33名の社会教育担当の専任者があり,解答に
応じてくれた100町村の教育委員会事務局には,わ
ずかに28名の専任者がいるのみであった。
市のように1市平均2人半であれば,そのうちの
1人を直ちに社会教育主事に切換えていくことは,
それほど困難ではない。が,町村のように3町村半
に1人という状態では,直ちにどの町村にも社会教
育主事をおくということは極めて困難である。
そこで,次の問題は,やはり公民館や図書館で働く
社会教育の専任者のことに移る。
13市
公民館
専任職員図書館
専任職員計 福島 13人 文化センター3人 16人 郡山 9 12 21 若松 11 9 20 平 14 ― 14 白河 4 4 8 須賀川 2 4 6 喜多方 14 ― 14 相馬 14 ― 14 原町 17 ― 17 常磐 6 ― 6 内郷 ― 2 2 磐城 6 ― 6 勿来 5 ― 5 計 115人 34人 149人 一市平均 9人 2.6人 11.5人 (昭32・12・31現在)
16出張所
資料提
出町村数公民館
專任職員一町村平均 信夫 6人 16人 2.7人 伊達 4 6 1.5 安達 7 18 2.6 安積 10 9 0.9 岩瀬 4 4 1 南会津 7 3 0.4 北会津 4 14 3.5 耶麻 3 7 2.3 両沼 9 21 2.3 西白河 7 1 0.1 東白川 4 2 0.5 石川 6 14 2.3 田村 8 20 2.5 石城 7 10 1.4 双葉 10 15 1.5 相馬 4 13 3.2 計 100人 173人 1.7人
市についていえば,公民館の専任者は115名,図
書館の専任者を合わせると149名となり,1市平均
11.5名となる。これが町村となると,図書館はなく,
公民館の専任者が173名,1町村平均1.7名である。
1市平均11.5名と,1町村平均1.7名とを比較す
ると,その「ひらき」は大きい。
特に,西白河の0.1名,南会津の0.4名,東白川の
0.5名は寂しい。
1町村2名に満たぬ出張所を拾ってみると,下記
の3つの外に,安積,岩瀬,石城,双葉,伊達の5
つがある。
なお,1出張所総数10名に満たぬところは,上記
の3つの外に,安積,岩瀬,伊達,耶麻の4つがあ
る。けれども,この調査の後に,耶麻は専任者を増
員したと聞いているから,あるいはすでに10名をこ
しているかも知れない。市を除き,町村の公民館専
任者だけで10名にも満たぬ出張所管内では,いくら
質が高くとも量の点で迫力に欠ける。
ちなみに,市町村に対する「基準財政需要額」の
「その他の教育費」という1項をみると,「教育委
員会費」の外に,「公民館教育費」,「図書館費」
などがあげられ,「公民館費」とはなっていない。
多くの市と町村は図書館をもっていないのであるか
ら,「公民館費」という場合には,この「公民館教
育費」というものの大部分と,「図書館費」といわ
れるものを加えたもの,とみるべきである。だから,
地方課との話合いの席上でも,町村に1人の公民館
専任者もいないというのは,たしかに理解に苦しむ。
目標…ここ当分の目標としては,やはり1町村平
均3名というところが最も妥当な線ではなかろうか。
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公民館主事と,学校の教師との違いをはっきりさ