教育年報1958年(S33)-040/83page
せておきたい。
学校の教師は,次の2つの責務をもっていると思
う。
(1)生徒たちに教えるという仕事
(2)仲間とともに自分を磨く仕事
公民館主事は,次の2つの責務をもっていると思
うが,どうであろうか。
(1)住民たちの相談にのる仕事
(2)仲間とともに自分を磨く仕事
学校の教師にも,生徒のもち出す相談にのるとい
う仕事があろう。が,公民館主事には,学校の教師
のように教えなければならないという責務はない。
社会教育の主体者は住民自体にあるのであるから,
求められてその相談に応ずる仕事だ,と,はっきり
公民館主事の役割をわきまえてかかる必要がある。
そうでないと,学校の教師のような公民館主事を求
めたがる一部の有力者もいるので,特に注意を喚起
しておきたい。
それから,これも念のためであるが,「あの主事
は芸術家肌だ」とか,あるいは「あの主事は行事屋
だ」とか,そういった類の特長だけが誇大にいいふ
らされて,公民館主事として,あるいは社会教育主
事として,(1)本質的に,また基礎的に充分わきまえ
ていなければならない第一義的な任務や技術がおろ
そかにされたり,また,(2)いっぱしの教育者として,
やはり負わなければならない道義的な責任が瞹昧に
されてはならないことも付け加えておきたい。
☆
のこされた紙面で,本年度の努力事項をにらみな
がら,その努力事項に向って,どこまで接近したか
を眺めてみたい。しかし,個々の担当分野に属する
ことは省略して,どの分野にも属さないものだけに
とどめる。
社会教育課努力事項
a 社会教育施設の充実をはかる
(1)青少年の訓練施設としてまず積慶寮を整備し
ていく。
(2)公民館の建物およびその内容の充実に対して
協力していく。
(3)県と地方の視聴覚ライブラリーの連けいを強
化していく。
(4)みどり号を用いてへき地社会教育に奉仕して
いく。
b 勤労青少年教育の振興をはかる。
(1)青少年の自主的な集団活動をとおして社会道
徳を高めていく。
(2)青年学級における職業教育ならびに科学教育
を充実していく。
(3)青少年団体における生産活動をもり上げてい
く。
(4)青少年の健全な野外活動を盛んにしていく。
(5)実業高等学校との連けいを密にしていく。
c 婦人教育の徹底をはかる。
(1)婦人の小集団学習活動を活発にしてその知性
を高めていく。
(2)その土地にふさわしい婦人学級の運営を生み
だしていく。
(3)婦人団体相互の連携を緊密にしていく。
(4)PTA活動をとおして道徳教育を地についた
ものにしていく。
d 文化的環境の醸成をはかる。
(1)芸術文化の向上に特に力を注いでいく。
(2)文化財に対する積極的な保護と未開発物件の
調査および資料の整備をはかっていく。
c 社会教育担当者の向上をはかる。
(1)法に定められた社会教育主事の講習を行って
いく。
(2)青少年婦人その他公民館運営審議会委員等の
相互の研修活動を盛んにしていく。
(3)社会教育地区を設定してあらゆる角度から社
会教育活動を科学的なものにしている。
(4)第5回日本社会教育学会福島開催の効果をわ
がものにしていく。
f 県立図書館建築の完成をはかる。
○たしかに積慶寮はよくなった。今年の1月号「社
会教育」を御覧願いたい。○水道も入った。風呂も
できた。布団もととのった。部屋も温かになった。
洗面所もいい。便所も清潔だ。合宿訓練施設として,
夏でよし,冬でよし,といっていい。
○昨年度の「予算の上にあらわれた本県公民館の現
状」にひきつづき,「公民館の予算と事業はどう編
成したらよいか」を目下印刷中である。科学的な公
民館運営の一助にしたいという願いに外ならない。
○社会教育主事講習は,受講者にとっても多大の犠
牲を払ったはずであるし,世話する側においても大
きなエネルギーを消耗した。だが,苦しい中にも楽
しみはあった。岩手,宮城,新潟の自称「外人部隊」
も,本県の仲間づくり激しさに驚嘆していたようで
ある。仲間の記録「むぎ茶」第3号も間もなく発行
される。75人の受講者は昭和34年度にその後期を完
了する。
○日本杜会教育学会第5回大会は,準備に大きな苦
労を払ったが,さてその効果はどうであったか。大
学における研究者と,公民館等における現場の研究
者との間に,もっと突っ込んで話合える共通の広場
をつくっておかなければならないように思った。と
もあれ,教育学科を有する大学に,安心して社会教