教育年報1958年(S33)-047/83page
なければいけないように視聴覚教育を行うためには,
どうしても映画や映写機・ラジオ・テレビ・録音機
・スライド等がなければ,どうにもしようがないの
である。
映画による視聴覚教育の場合,映写機がさきか,
映画がさきかは,全国どこでも論じられているが,
いずれにせよ,理論にもとづく実践を強力に押しす
すめるためには,その母体となるライブラリーとい
う組織がなければ,どうにもならない。
県内各地域に,郡市単位による地域フイルムライ
ブラリーをつくろうという運動をはじめて第4年目,
現在は,別表(1)のように,まがりなりにも県内に
は25地域ライブラリーが自主的に出来て盛んに動い
ている。
○第1年目 伊達・石城・相馬地方・相馬市・安達
・信夫・福島・岩瀬・西白河・塩川の10ライブラ
リー
○第2年目 田村・石川・東白川・郡山・安積・
坂下・高田・南会西部・猪苗代・北会若松・日橋の
11ライブラリー
○第3年目 双葉・柳津・耶麻の3ライブラリー
地域視聴覚ライブラリーをますます充実していく
ために,どんなことがとりあげられ,その実現のた
めに努力してきたか。
a ライブラリー専従者
現在,相馬地方・石城・田村・安積・岩瀬・西白
・東白・石川の8ライブラリーには,すでに立派な
専従者がいて各地域のサービスにつとめている。近
い将来,全部のライブラリーに専従者が設置される
べきであり,殊に石城のごときサービスエリアの広
大なところでは少くともライブラリーを3方部に分
け,それぞれ専従者がいるようにならなければなら
ない。
b 負担金の公費支弁へ
児童生徒の教育のため,地域住民の福祉のために
貢献しようとするこの地域ライブラリーの経費は,
現在やむをえず,児童生徒や住民よりの拠金によっ
ているが,これはあくまで当分の間でこれは当然,
公費に切り換えられるべきものである。田村ライブラリー
は(月報社会教育3月号参照)来年度より総
予算180万中,90パーセント公費支弁切換えに成功
し,双葉は設立2年目にしてその50パーセント切換
えに成功している関係者の努力と誠意に対して心か
ら敬意を表したい。
c 映写機・映画の増加
現在学校,公民館,地教委,ライブラリー所有の
映写機の総数は280台,その半数弱は石城にある,
石城のごときは映写機をもたない学校,公民館を数
えた方が早いといわれている。
「1校1館1台主義」の完徹にはほど遠いが理想
として公民館には1台,学校では5学級に1台は是
非とも必要であり,映写機増加運動は,今後とも続
けられなければならない。
映画の数は地域ライブラリーが800本,県ライブ
ラリーが1,000本となっているが,郡市単位の学校
教育や社会教育にふんだんに映画が使われるために
は,各ライブラリーごとに平均1,000本あては必要
である。映写機増加とともに教材の充実はさらに大
切なことである。
d 技術者の増加
フイルムの損傷防止のための操作技術,視聴覚教
材をいつどこで,どのように利用するかの指導者養
成を各ライブラリーと共催で行って来たがどの先生
もオルガンがひけるようにどの指導者も映写機の操
作位出来るようにしたい。
e 新作教育映画の研究
毎年県内4カ所で開催される新作の教育映画研究
会や国際短篇映画祭,各ライブラリーごとの試写会
等へは常に参加して絶えず新しい教材にたいする研
究を進めておくことは非常に大切である。
f その他
録音教材の利用,ラジオ・テレビ教育の振興,殊
に教材としてのテレビ番組を教育にいかにとり入れ
るか。家庭におけるテレビ視聴のしかたなど青少年
におよぼすテレビ対策などは,今後に残された視聴
覚教育の大き問題のひとつである。
7.文化財の保護
A 本県の文化財
本県は地域広大で地形的に変化があり,その上陸
奥国の南半,関東北陸と境を接している点から特異
な史的発展をしてきたので,東国,北国の各県に比
して文化財が多い地帯である。
総件数232(重要美術品認定物件を除く)うち国
指定90件,県指定142件があり,その主なるものは,
県政だより(1959)文化財特集にあげた写真の通り
であり,各郡別件数は次表のとおりで,とくに会津
石城に分布している。
第1表 文化財指定物件 昭和34年3月31日現在
出張所別\区分 国宝 重要文化財 史跡・名勝・
天然記念物計 国 県 国 県 信夫 ― 3 5 3 ― 11 伊達 ― 0 3 1 1 5 安達 ― ― 3 4 4 11 安積 ― 2 7 3 8 20 岩瀬 ― 1 2 3 1 7 南会津 ― 0 5 2 2 9