教育年報1958年(S33)-068/83page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

00016,標準偏差0.015となるをもって,ここにて因

子分析をとどめるのが妥当と思われる。

 ―“社会調査の技術”には“残差が充分に小さ

くなれば計算をとめる。(残差の度数分布が平均=

0,標準偏差=0.03)”とある。―したがってこ

のことからすれば潜在構造を2つとみなしたラザー

スフエルドの潜在構造分析は,そのまま認められる

ことになる。

 この場合Poの因子分析であえて第3因子まで求め,

その計算を完結すれば潜在クラス1,2,3に属す

る割合は0.29,0.41,0.30となる。

 これらの結果については“非行児の早期発見に関

する研究の報告書”―昭和34年5月上旬配布―

をみられたい。

 なお本年度に用いた検査問題は次の4種である。

・三好稔編 新訂版 基本的欲求検査

・正木正著 性格指導検査表

・田研式  家庭環境診断テスト

・クレペリン・内田作業素質検査

C 高等学校入学志願者選抜のための学力検査結果の

  調査

 高等学校入学志願選抜のための学力検査ほど

 (1)選練された問題で,しかも全教科にわたって

 実施される。

 (2)同一条件下に厳しく管理された場合で,しか

 も真剣な態度で受験する。

 学力検査は他にないと思われる,したがってこの

ように貴重な結果をただ選抜の目的だけに終らせる

ことは,真に残念なことであると考えていたところ,

幸い学校教育課から学力検査問題の検討の依頼を受

けたので,この調査を計画した。

 この調査にあたっては,受験者全員の各教科とも,

小問ごとの反応と答案を受験者数の1割に相当する

数だけ,系統的抽出法によって抽出したものの送付

を願った。

 調査結果の処理にあたっては,学力検査問題が選

抜という目的からみて妥当であったか,選抜肢の設

定は適当であったかなど学校教育課の要請に応える

外,学力を地域差があるとの仮定に立って,出張所

管内に属する高等学校ごとに集計して

 (1)教科相互の学力の歪み

 (2)教科内での分析された学力相互の歪み

 を明確にして,管内での指導の方向づけをすると

ともに,この歪みの標示には学習指導要録の所見へ

の記入方法を指導するという立場で,相対評価を通

した絶対評価のあり方を取った。

 答案については,各小問ごとの反応分析を行なっ

て,中学校での学習指導の欠陥の追求,今後の指導

の方向づけに役立たせるものとした。

 これらの結果は

 ・高等学校入学志願者選抜のための学力検査結果

の調査報告書…その一…

 …―昭和33年7月上旬配布―

 ・高等学校入学志願者選抜のための学力検査結果

の調査報告書…その二…

 ―昭和33年10月下旬配布―

D 全国学力調査

 小学校・中学校・高等学校における児童・生徒に

ついて,いろいろの角度から見た学力の実態を全国

的な規模で明らかにして,学習指導および教育条件

の整備改善に役立つ基礎資料を作成することを目的

として,文部省が実施している全国学力調査は,昭

和31年度の国語・算数・数学,昭和32年度の社会・

理科とつづいて本年度は,小学校の音楽・図画工作

・家庭・教科以外の活動,中学校の英語・職業家庭

,高等学校の英語・保健体育について実施された。

この内,小学校の音楽,中・高等学校の英語は,と

もに最初の15分をNHK第二放送を利用してテスト

を行なった。

標本調査のための標本は文部省から指定されたもの

に,規模からの妥当性が認められるように県独自の

標本を加えて,本県の学力の実態を把握できるよう

にした。

 この種の調査で先ず関心の向けられるのは,その

結果にあらわれた本県の位置であると思う。文部省

の学力調査問題はいわゆる標準学力検査問題のよう

に,全国的な立場に立った目盛づけがないため,学

校種別または教科相互の学力の差異を,ただ答案の

上にあらわれた点数からは判断できない。そこで

できれば全国平均・標準偏差にもとづいて,その位置

づけを明瞭にしたいのであるが,今回の文部省の中

間報告には全国平均のみで,標準偏差が示されてい

ないので,一応次のような数値をもってその指標とする。

 全国平均を到達目標とみなして,本県の平均がそ

れにたいしどの程度到達したか,すなわち

 到達度=本県の平均÷全国の平均×100

を用いる。

 その結果は次のようである。

 小学校

 音楽   図画工作  家庭

 97.4    92.2    93.7

 中学校

 1  英語  2  職業・家庭

 71.6    79.6    77.6

 高等学校(全日制)

 英語    保健    体育

 80.8    95.4    92.5


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。