教育年報1959年(S34)-011/121page
3 前進する市町村教育委員会
市町村教育委員会は,市町村教育行政を直接担当し,
地域の要望と,児童・生徒の実態を教育実践に反映させ
るうえに,きわめて重要な任務を有している。県教育委
員会としては,常時,市町村教育委員会と密接な連関を
保ち,筋のとおった教育行政の確立に努力してきた。
昭和34年度は,前年からの勤務評定実施をさらに充実
し,9月末日までには県下全校とも,円滑に評定書の提
出が完了した。
また,勤務評定とともに,小・中学校改訂教育課程議
協会の実施が重要な施策として行なわれたが,県教組の
反対があったにもかかわらず,ほとんど平穏に終了する
ことができた。これは,県教育委員会と市町村教育委員
会とが,上記のような連絡を保ち,相互に協力し合って
教育行政の確保に努力してきた一つのあらわれともいう
ことができる。
これらの基盤にたって,県教育委員会においては,市
町村教育委員会と連関を保ちながらもその育成強化に努
力してきた。以下,その概要をのべる。
A 市町村教育長の任命承認
昭和34年度においては,下記のとおり,16名に及ぶ市
町村教育長の任命承認が行なわれた。
◎斎藤一男(前学校長)伊達郡梁川町
◎和宇慶良春(前学校長)伊達郡保原町
◎佐伯政夫(前助役) 常磐市
◎渡辺利一郎(前町長) 大沼郡金山町
◎志賀顕義(前公務員)田村郡滝根町
◎大八木茂(前学校長)喜多方市
◎熊坂藤介(前公務員)信夫郡信夫村
◎真部利八(前学校長)耶麻郡山都町
◎会田栄新(前教育長)岩瀬郡鏡石村
◎山内平(前教育長)会津若松市
◎黒沢正夫(前学校長)相馬郡新地村
◎小針ヨネ(前委員) 西白河郡西郷村
◎佐藤勝見(前学校長)田村郡船引町
◎林正(前委員長)原町市
◎伊藤円吉(前教育長)信夫郡吾妻村
◎羽山斉(商業) 安積郡片平村
B 市町村教育委員会育成強化のための文部省の委託事務
昭和34年度に引続き,市町村教育委員会育成強化方策
として,文部省の委託事務について計画し,実施した。
a,文部省委託事務による市町村教育委員会育成強化の方針
市町町村教育委員会の職責内容を明確に把握し,行政
手続き,行政上の焦点を具体的に摘出する。これがた
め,県下各市町村教育委員会事務局職員を主体にして,
「市町村教育行政提要」の執筆を行ない,その過程にお
いて相互研修をはかる。
b,編集主体
福島県教育委員会
福島県市町村教育委員会連絡協議会
c,組織
県下市町村教育委員会事務局員の中から約50名を選抜
し,それを県北,県南,会津,浜通りの4ブロックに組
織し,研究主題を割り当てた。
さらに,市町村教育委員会教育長,各出張所長及び主
任,本庁各課関係者若干名をもって助言者とした。
d,研究経過
(1) 8月下旬までに以上の組織を終り,市町村教育行
政の内容を
◎地方教育行政制度の趣旨
◎教育委員会の設置及び組織
◎事務局の組織と運営
◎財務事務
◎学校管理
◎社会教育
◎保健体育
の分野に整理し,さらにそれらの分野を2から19項目
にわけ,全体で72に及ぶ項目をたてた。
(2) 9月10日,第1回編集委員会議を開き,執筆者を
各項目に応じて決定した。
執筆は各項目に応じ,次の順序で行なった。
◎趣 旨
◎用語の意義
◎行政事務(行政手続き)
◎実施上の重点
(3) 9月下旬から11月下旬までに,各ブロック単位に
数回にわたって相互研究を重ね,第1次案を作成し
た。
(4)11月下旬から12月中旬までに,各ブロックとも市
町村教育委員会事務局職員研修会において内容を発表
し,意見を反映し,第2次案を作成した。
(5)35年1月下旬までに前節記2次案を本庁各課に送
付し,指導を得て最終案を作成した。
(6) 2月下旬までに印刷,製本を完了し,3月に配本
を完了した。
e,集録の名称・その他
(1)名称市町村教育行政提案
(2)規格B5版420ページ
C 市町村における教育予算の編成に関する指導
市町村における教育予算は逐年改善に努力したところ
であるが,市町村においては,教育行政及び学校教育,
社会教育等の実態を明確にすることなく,従って,実態
に応ずることも少なかったので,著しく不利な編成が行
われてきた。
昭和34年度においては,9月下旬より各市町村の実態