教育年報1959年(S34)-038/121page
(3)補助金の交付状況
昭和34年9月11日付,文部省から決定通知があり,直
ちに市町村あて決定通知書を送付した。 (9月18日付)
支出は全額概算払とし,10月28日大部分の市町村あて
支出した。高校あては11月2日付令達した。
(4)理科教育に関する研究の実施状況
33年度および34年度対象校は、前年度から引続き設備
の計画的充実に努めるとともに,各学校内および各方部
・出張所単位に研修を積み重ね,10月〜12月の間,各地
において研究公開を行ない,研究成果の発表交換を行な
った。小・中学校においては方部の中心校から次第に地
方に移りつつあるが,小規模校において校内一致協力し
て,よく現職教育の実をあげた学校や出張所の指導によ
り管内の研究体制を整え,共同研究の成果をあげた学校
があらわれてきている。理科実験講座による教員の実技
の向上と相まって,理科教育も地についてきたことは喜
ばしい。
高等学校においては,理振法による研究と実験実習費
の使い方の研究の必要とから,理科各科日ごとの実験観
察項目の研究と消耗器材の研究が進められ,県理科教育
協議会においてまとめられたのは今年度の成果の一つで
あった。また各方部理科教育協議会ごとに機関誌の発行
が盛大になったのと今年度の特色といえよう。
(5)今後の問題点
小・中学校,もくに分校の設備の充実を計ることが急
務と考えられる。また,教育課程改程に伴う中学校の設
備の改善,あるいは理科実験室の設置が必要である。高
等学校においては,施設・設備の更新充実をはかるこ
と。とくに県費による独自の計画により,全国水準に追
いつき追いぬくことが必要であろう。
C 産業教育振興法を如何に実施したか
産業教育振興法が施行されて以来,本年度で第8年目
を迎えた。その間,産業教育施設・設備は逐次充実を
み,直接産業教育の実験,実習に役立っていることは本
県産業教育振興のため慶賀にたえない。しかし,本県の
施設・設備の現有率は他県に比し著しく低く,さらに今
後の充実を期さなければならない状態である。
さて本年度の産業教育振興法による国庫負担金は,昨
年度に引きつづき科学技術教育の振興,特に工業技術者
の増加をはかる目的で新設課程補助金を得て工業・水産
課程の各学科を大幅に増加し得たことは,本県産業教育
振興上まことに慶賀にたえない。また近代技術に対応す
る設備として,工業・水産各1校あてに特別設備を設置
し得たことは技術革新に対応する教育として喜びにたえ
ないところである。
1,昭和34年度の実施状況
事業の内容としては,昭和33年度と同様,高等学校産
業教育設備費として特別設備費,新設課程設備費,分校
設備費,産業科設備費である。また高等学校産業教育施
設費としては,一般施設費,新設課程施設費,分校施設
費,産業科施設費と中学校産業教育研究指定校設備費と
なっている。なおそれぞれの所要経費等については第1
表に示すとおりである。
第1表 昭和34年度産業教育振興費事業経費
事 項 所要経費 内 訳 備 考 国庫負担金 県負担金 千円 千円 千円 高等学校産業教育設備費 31,026 10,342 20,684 特 別設備費 5,400 1,800 3,600 郡山工業 3,900千円
小名浜水産 1,500新設課程 〃 18,306 6,102 12,204 磐城農工・平工業・白河農工・
小高農工・郡山工業・小名浜水産分 校 〃 1,500 500 1,000 産 業 科 〃 5,820 1,940 3,880 高等学校産業教育施設費 34,435 11,318 23,117 一 般施設費 16,582 5,432.4 11,149.6 577坪 新設課程 〃 12,221 4,072.3 8,148 410.5坪 分 校 〃 578 192.6 385.4 20坪 産 業 科 〃 4,278 1,424.4 2,849.6 150坪 事 務 費 780 196.3 583.7 中学校産業教育研究指定校設備費 7,500 3,750 3,750 25校 計 72,961 25,410 47,551 なお,本年度の事業を実施するにあたって留意したことは次のとおりである。