教育年報1959年(S34)-076/121page
第7表
年月日 場 所 指導した
人員対照地区 指導者 昭34,10,15,16 福島市県教委信夫出張所 37名 県北地区 県教委事務局保健体育 34,10,19,20 原町市第2小学校 35名 相双地区 課技師 34,10,29 会津若松市謹教小学校 43名 会津地区 高橋惣右工門 計 115名
H 総括および考察
現行の健康保険法による結核性疾患の治癒期間は満3
カ年となっている。肺結核患者は3年の間に治療し社会
復帰せねばならぬ枠がおかれている。ところが政府管掌
の社会保険者は傷病手当金の支給期間は1年6ヵ月で,
その期間中も月収額の60%しか支給されないのでなるべ
く早く職場復帰を希望する事になり管理医師も被保険者
の生活問題を考慮すると止むを得ず早期に復帰許可を与
えている場合が多い。一方,教職員の如き組合保険法及
び共済組合等の被保険者は3年間の療養期間中は全期間
を通じて月収額の100%に近い金額の支給をうけて充分
な治療後職場復帰している場合が多い。このように勤労
者の所属する機関によって肺結核療養期間中の待遇に相
異がある事は幾ばくかの矛盾を感ずる。此点から見れば
教職員は恵まれた境遇にあるわけである。長期化学療法
と切除術とが再発の危険や悪化率を低下するという専門
家の論説が多いのをこの際認識を深め,充分な化学療法
を受ける事を切望する。
以上,概括的に述べて来たが教職員の健康管理の1年
をふりかえって綜括を試みるならば次の如くである。
(1)採用,休職,復職および病気退職に関する疑義ある
者の判定は結核等審査委員会に諮問して行っている。
(2)採用時,復職等の身体上の診査に当っては一定の基
準を定め審査の結果を検討することにより,適時基準に
改正を加えている。
(3)採用時検査を厳に実施することにより新規採用者か
らの発病は皆無といって良い。
(4)結核要注意者(C〜2)よりの発病が案外多い事は
今後の指導方法について具体的考察が要求される。
(5)一般国民の罹患と同じく相伴って教職員に於ても本
年度あたりから精神神経症が増加している。これについ
ては県教委としても具体策を目下考慮中である。
(6)結核復職後6年間は原則として要注意者扱いとしたい。
(7)復職時審査で不可となり退職する者もあるが,その
中には病巣に対する主治医との見解の相違もあるので休
職中の療養指導を十分行う必要性のあるのを感ずる。此
事は又,定期健診に於ける保健所と県教委との指示の相
違に就いでも同様である。
4 学校体育
A 学校体育指導者養成講座
県内各学校における保健体育の向上をはかり,学習指
導の効果をじゅうぶん発揮するためには,指導上の組織
体系を確立する必要がある。それには各出張所単位に,
指導助言的役割をもつ指導者の養成をはかり,地方指導
に必要な内容および方法の研修をすることにある。特に
今年度は,改訂学習指導要領の移行実施の第1年目であ
るので,これが取扱いと発展的段階的指導法の実地研修
を主眼としで開催したものである。
a,期日 4月28日より3日間
b,場所 福島大学学芸学部,福島農蚕高等学校,
福島女子高等学校
c,参加者 各出張所より推せんされた指導者各10名ず
つ(内2名女子)計160名
d,内容
(1)特別講師 文部事務官 松島茂善氏
(2)地方講師 福島大学学芸学部教授 鈴木源六氏 外
20名
(3)体育理論 徒手体操,器械運動,陸上運動,ボール
運動,その他の運動,集団行動
(4)研修法 徒手,集団行動は全員履習,あとの各運動
はそれぞれ班に分れて3日間通して履習。
e,修了証書全日程を履習したものに対しては修了証
書を授与した。
年度のはじめでもあり,学習指導要領移行第1年目(
小学校)でもあったので本講座は大きな成果を収めるこ
とができた。特に改訂指導要領の作成にあたられた
松島先生をお迎えして開催できたことは,われわれの平素の
疑問を解決してくれた。昨年もそうであったが,今年度
も会期延長の声が強かったが,これは受講生の熱を示す
ものである。方法についても大いに改善検討を要する点
が多いが,少くとも,小学校と中学校を分けて開催する
ことについては異口同音であったので,35年度はぜひそ
うしたいと考えている。
B 学校体育伝達講習会
指導者養成講座に参加した受講生は,各出張所におい
てそれぞれの計画によってこれが指導伝達をなし,管内
の向上に努めた。
a,期日 6月〜7月が主であった。都市以内の地区で
は,主に農繁休業を利用して開催したところが多かった。
b,場所 各出張所ごとに実施,地方によってはさらに
数ケ所で開催し,またあるところでは,各学校を巡回し
て普及に努めた。
この伝達講習によって県内の末端にまで行きわたり,
効果があった。数ケ所で開催したところでは経費や日程
等で容易でなかったようである。