教育年報1959年(S34)-090/121page

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             武藤武利 本田明

h,会津若松市立会津若松第一中学校

             志賀三郎 川島郁郎

i,会津若松市立会津若松第二中学校

             角田四郎 村岡三郎

j,磐城市立小名浜第一中学校 菱沼儀 佐藤公治

k,内郷市立内郷第二中学校 千葉正義 唯木栄

3,処理の概要

 研究目的の(1)に沿っては先ず

1) 各検査の問の中から正常群と非行群との間で,その

反応に有意差の認められるものを,3×2分割表による,

X2―検定で検出する。この検出された問は,研究目的(2)

に対応するものとする。

2) 検出された問を,グリュックの犯罪予測の方法にな

らって数量化する。

 この場合検定された,問の各反応に付与された失敗得

点の最高・最低の差が如何に小さくとも,問の数が多け

れば多い程,非行の分別には役立つが,各問の失敗得点

を加算する作業が増大する。そこで作業を軽減するため

に問の数にある程度の制限を加える必要がある。これが

ため問の数が多い検査問題については,問の各反応に付

与された失敗得点の最高・最低の差の少ないものは捨る

ことにした。

 次いで正常群・非行群に属する各生徒の失敗得点の総

和―合計失点―から,合計失点の階級別非行への確率を

求める。

3) 林博士の仮釈放の予測に用いた数量化にならって問

を数量化する。

 この場合は問に対する反応を,4つ以上の種類に分け

ているものでないと,数量化の適用が受けられない。

この条件にかなっているものは,道徳性診断検査,問題

行動診断テストの2検査であった。

 グリュックの方法は反応への相対度数に関係なく数量

化し得られたが,この場合には,非行群と正常群の反応

への,相対度数のあり方によっては,数量化し得られな

い。従ってたまたま数量化し得られてもその検査問題全

体として,数量化された問の数が少なければ,非行児の

検出の効率が低いので,ある程度以上の数が整うことが

必要である。

4,処理の結果

  グリュックの方法による数量化

 性格指導表,家庭環境診断テスト,性格検査,問題行

動診断テスト,診断性向性検査,道徳性診断検査の6種

類の検査を,グリュックの方法によって数量化した結果

から,非行児童の早期発見という立場で,その効果を比

較するのに,1)問の数,2)合計失点の範囲の1問あた

り平均,3)非行・正常の分離の程度などから判定を試み

た。その結果では,加算によるある程度の作業をいとわ

なければ,問題行動診断テストが優れていることが判った。

 次に問題行動診断テストについての,失敗得点及び合

計失点段階別の非行への確率を示す。

1)失敗得点

 検査を構成している100の問のうち,著しく有意の差

の認められた58の問で,数量化の結果,各選択肢に対

する失敗得点の,最高・最低の開きが0.40以上のもの

は27問であった。これらの問及び失敗得点は1表のよう

である。

1表 問の反応の失敗得点

問番号

選択肢
記号
1 0.17 0.60 0.34 0.61
14 0.84 0.47 0.54 0.39
16 0.39 1.00 0.51 0.45
29 1.00 0.73 0.54 0.43
31 0.82 0.47 0.63 0.36
32 0.56 0.86 0.48 0.43
42 1.00 0.64 0.46 0.40
44 0.84 0.70 0.45 0.36
46 0.80 0.76 0.61 0.38
50 0.70 0.42 0.44 1.00
55 0.80 0.84 0.59 0.38
58 0.82 0.90 0.51 0.31
59 0.82 0.65 0.82 0.40
62 0.71 0.93 0.79 0.41
65 0.78 0.70 0.47 0.31
69 0.81 0.78 0.59 0.34
70 0.80 0.51 0.38 0.33
72 0.67 1.00 0.59 0.29
73 0.90 0.72 0.48 0.40
76 0.66 0.78 0.48 0.36
77 0.86 0.58 0.52 0.26
79 0.50 0.89 0.63 0.41
84 0.83 0.62 0.50 0.35
86 0.84 0.53 0.50 0.40
87 0.90 0.77 0.60 0.30
88 0.81 0.73 0.54 0.38
91 0.85 0.67 0.44 0.42
92 0.78 0.27 0.65 0.41
95 0.88 0.80 0.60 0.38
96 0.88 0.65 0.52 0.31
98 0.89 0.80 0.55 0.37


2) 合計失点と非行の可能性

 合計失点の階級別に見た非行への確率は2表のようで

ある。

2表 合計失点の階級別非行への確立


項目\欠点階級 〜12.8 〜14.2 〜15.6 〜17.0 〜18.4 〜19.8 〜21.2 〜21.9
非行の比率(確率) 4.7 20.2 49.5 74.0 88.6 95.2 100.0 100.0


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