教育年報1959年(S34)-091/121page
林博士の方法による数量化
この方法は,1)問の各選択肢に与えられる配点と,2)
谷間の非行への影響の程度に応じたウェートとの2つが
ある。
従って配点の合計―得点―の計算は,先ず配点にウェ
ートを乗じ,次いでこれを加え合せるという2段の操作
が伴う。それでこのような作業を軽減するため,あらか
じめ配点にウェートを乗じたものをもって,改めて配点
としておくことの方が,操作的には便利である。このよ
うな手続をとった各問への配点は3表のようである。
3表 ウエートを加味した問の反応への配点
問番号
\反応イ ロ ハ ニ 38 -0.08 0.06 0.05 0.12 39 -0.03 -0.08 -0.04 0.05 40 0.14 -0.02 0.05 -0.07 47 0.06 0.02 0.10 -0.06 48 -0.07 -0.06 0.06 -0.03 57 0.05 0.09 -0.02 -0.07 58 0.12 0.13 0.03 -0.10 65 0.11 0.09 0 -0.11 67 0.08 -0.02 0.06 -0.06 69 0.16 0.15 0.05 -0.08 72 0.09 0.24 0.05 -0.11 77 0.24 0.04 0.01 -0.11 84 0.17 0.07 0.01 -0.07 92 0.14 -0.12 0.08 -0.04 96 0.16 0.09 0.03 -0.12
得点の階級別に見た非行への可能性は,4表のようで
ある。
4表 得点の階級別非行への確率
項目\得点階級 〜-1.0 〜-0.7 〜-0.4 〜-0.1 〜-0.2 〜-0.5 〜-0.8 〜-1.1 1.2〜 非行への比率(確率) 0 7.1 13.1 32.6 58.3 69.6 92.5 100 100
なお詳細は“非行傾向児の早期発見に関する研究の報
告書その二”を参照されたい。
B 全国学力調査
「小学校,中学校,高等学校における児童・生徒につ
いて,いろいろの角度よりみた学力の実態を全国的な規
模で明らかにして,学習指導および教育条件の整備改善
に役立つ基礎資料を作成する」ことを目的として,前年
度に引続き第4次年度として34・9・29に実施した。文
部省の全国学力調査につきその概要を述べる。
本年度は国語,算数・数学について実施した。そのう
ち国語については,小・中・高とも最初の15分間はNH
Kの第二放送を利用してテストが行われた。この調査結
果の詳細については,本県分の集計結果として35年1月
に“昭和34年度全国学力調査”として報告書を配布した
ので参照願いたい。
なお, 1月中旬文部省より中間発表があったので月報
1月号に“中間報告と関連させて”をのせ,考察に便な
るようにした。
本県分の集計結果としては,前述のとおり報告書を各
校宛配布してあるので,内容は省略し,文部省よりの中
間発表と関連させた全国的な立場で本県の結果を眺める
ことにする。
a,児童・生徒の平均得点
文部省は今回の学力テストにおいて,国語・算数,数
学共に100点満点でその平均を国語では,小学校は50点
よりやや上,中学校・高等学校全日制でに60点,算数・
数学では小・中・高とも50点を目安とした。
以上のように平均点が異なること。またこれが一応の
目安であることなどから,調査の結果にあらわれたその
ままの点数―素点―から,小・中・高の学校間の成績の
良し悪し,または国語と算数・数学相互間の成績の良し
悪しを見極めることは困難である。
そこで全国の平均点がともに50点となるようにまた単
位の長さ―物尺の目盛りの一つの長さに相当するもの―
を全国学力調査の児童・生徒の点数分布の状況から決定
したものについて,本県の成績をあらわすと次のように
なります。
昭和34年度の学力偏差値
小学校 中学校 高校全日 国 語 46.5 46.9 47.0 算数・数学 47.0 47.8 45.6 平 均 46.8 47.4 46.3
これらのことについての有意差の検討はまだしていない。
有意差の検討をしていないので,相互の成績の良し悪
しを結論ずけることはできませんが,上記の表からは,
“小学校,中学校では国語成績が算数・数学の成績より
悪く,高等学校では逆に国語が数学より良い成績を示し
ている”ことがわかる。
b,昭31と昭34との成績の比較
全国学力調査は昭和31年より開始され,この年は本年
と同じ国語・算数・数学について実施した。このことか
ら本年と比較して成績はどうかという質問でてくると思
う。しかし,昭和31年と本年とでは問題作成の方針を比