教育年報1959年(S34)-095/121page

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(2)最終学歴から見た教員構成では,高校,旧制中等学

校,国立大学教員養成2年課程,短期大学の占める比率

は相馬の24.7%が最も低く,次いで双葉,西白河,信

夫,北会津, と続き石川48.8,東白川49.4,南会津

53.1%となっている。

 e,出張所単位の教科別の教員構成

  出張所単位の教科別の望ましい教員構成との間によく

均衡のとれているのは両沼,次いで石城,田村,伊達と

なり,均衡を欠いているものには石川,南会津,安達な

どがある。然し,出張所単位の均衡状況がそのまま個

々の学校での均衡を示すものではない。個々の学校の均

衡状況から見ると,信夫,伊達,岩瀬,北会津,相馬な

どはよく,悪い方では両沼,次いで東白川,南会津,田

村,西白河,石城と順次好転している。

f,高校への志願,進学,学力検査の成績との関係

(1)現状では,一応志願がその限界に達しているとみら

れる地域は,伊達,西白河,石川の各出張所管内。

(2)高校への進学が比較的容易で,ために志願率も高か

まっていると見られる地域は,安積,耶麻,双葉,相馬

の各出張所管内。

(3)高校への進学が困難で,ために高校への志願率が低

くなっていると見られる地域は,信夫,安達,北会津,

両沼,石城などの各出張所管内となっている。

E 診断的性格を帯びた福島県で標準化した学力検査問題

a,学力検査問題の作成とその標準化

  3力年計画の第3年度にあたる本年度は,小学校の第

1・2学年,中学校の第3学年の国語,算数・数学の問

題を作成し,これをもって小・中学校の二教科の問題は

完成した。学年はじめではレデネステストとして個々の

学力を診断し,指導計画作成のために,年度末では指導

の反省,あるいは学級・学校の学力の位置づけのために

このテストを用いることができる。

 問題作成では,例年と同じ考え方と作成の過程を経て

第1回の作成委員会を開き,次いで小・中学校の各学年

の性格から考えテスト期日をずらしたので,第2回の委

員会に中学校の問題を,第3回委員会で小学校の問題を

最終的に検討した。

 標準化のための標本の決定にあたっては,中学校は標

本校55,生徒数1,900を目標として,進学志願率と学校

規摸による層別を行い,これに比例割当法によって標本

数を定め,標本生徒の決定には二段抽出法を用いた。な

お,各出張所管内に各層の標本校が選定されるような考

慮を払った。小学校は児童管理を考慮して標本児童を学

校単位にしたため,標本校25,児童数2,000を目標と

して学校規模による層別を行い,比例割当法をとった。

 学力検査は,中学校が1月20日に,小学校は児童管理

のうえから国語,算数を前半と後半にわけて3月10・11

日に,各出張所の指導担当者および研究所員がテスター

として全般の管理運営にあたり,各学校のテスト補助員

 によって直接テストを実施した。

  テストに表れた各小問の正答率,標準化した換算Tス

コァーは「学力検査の手引」で示したとおりである。

b,誤答分析を通してみた指導のあり方

 昭和33年度の標準化のために実施した小3・4,中2

の学力検査問題の答案から,系統的抽出法によって各学

年約400を抽出し,その反応分析を行った。誤答は各小

問ごとに調査して誤答傾向に従って類型化し,誤答の要

因を作問の観点と対応させて児童生徒に対する望ましい

学習指導のあり方を考察したものである。

 県下全域にわたる多数の答案から得た結果として,本

県の子どもの陥りやすい共通の問題点である。子どもに

おかれている教育条件が急変するものでなければ,この

つまずきは少なくとも数年は続くと考えられる。そうで

あるなら,来年,再来年の子どもに対して,今からその

点を考慮した学習指導を行うことはよい結果をもたらす

に違いない。厳密にはこの考察の検証を必要とするが,

これは昭和35年度にゆずり,本年度は上記の考察の結果

をとりあえず次の要領で公にして現場での活用に供する

ことにした。

○国語について

  “標準学力検査問題の報告書―その4―国語学習の診

断と指導”にまとめて発表したが,その意図するものは

次のとおりである。

 各学年の学力検査問題の領域―文字力・語彙・語法

・読解―に従って,1)どこにどんなつまずきがある

か。2)そのつまずきの要因。3)その障害を除くための指

導をどうするか,について考察し,今後の指導で重点的

に取扱うべき事項を各学年の各領域の終りでまとめた。

一応,各学年別にまとめてあるが,昨年度の報告書(小

5・6,中1)との関連を持たせ,各領域ごとに学習の

系統化を図っているので,領域ごとに学年を通して読む

のがいっそう効果的である。

 とくに,全国水準より極端に低い「読解」については

一つ一つを分析する力と,それらを構造的に考え,総合

して文章の要旨や主題を読みとる力とを考察した。この

二つの方向を持つさまざまな能力が読解にどんな問題を

なげかけているかを明らかにして,その指導法の確立を

期した。その他,各領域毎に指導上の参考としてまとめ

ているので,くわしくは上記の報告書を参照されたい。

○算数・数学について

 “標記学力険査問題の報告書―その一―算数・数学

学習の診断と治療”において詳細に述べてあるので参照

されたい。その内容の概略は次のとおりである。

 各学年の学力検査問題の領域―小3・4は数の概念,

計算,計量,図形,数量関係,問題解決,中2は数と計

算,式と文学,方程式,図形,数量関係, 問題解決―

に従って小問ごとに正答,誤答,無答の率をあげ,誤

答例とその反応率を具体的に提示して,1)つまずきの原

因。2)取るべき処置を述べて,更に3)領域全般としての

特に目立つ欠陥,指導上の留意点と,4)学年全般の問題


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