教育年報1959年(S34)-113/121page

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 である。

弁護士B

イ,利用の実態に徴して夜間も8時半ぐらい迄は開館す

 べきだ。

ロ,開館時間を延長しても,日曜休館はこまる。

医師C

イ,人間の体は一週間働くと疲労素がうっ積する。

 人の休むときに,つまり一週間に一日は休む必要あり

医師D

イ,実際に即して,臨時に職員をたのむとか(季節労務

 者)何とかして,やはり日曜日は休むな。

主婦E

イ,解説の中にでも,平日と日曜日との利用度数でも示

 して下さればよかった。

ロ,高校生の為には,日曜日休館はどうしても困ると思

 います。

  主婦としては,館の運営上やむを得なければ,いた

 しかたないと思う。

イ,主婦としては上記のとおり(問1休館=かえってよ

 い。問2延長=どうでもよい)ですが,子どもをもつ

 母親としては,日曜日の休館は余り感心しません。

ロ,係員を特設しても日曜日に,サービスしていただけ

 れば幸甚と存じます。

(2)以上は,調査票の中に簡略に書かれたものである

が,口頭で猛烈に日曜日休館を反対したのは,医師3,

弁護士2,であった。僧侶,牧師,本屋は,例外なく,

日曜日休館を支持した。職業がら当然のことである。

(3) 日曜日休館は主婦Fがいっているように, 「大人と

しては,別に方法を考えます。しかし子供のためには困

ります」というのが,賛成者全般に通ずる意見ではない

かと思う。

 つまり,日曜日休館賛成者は日曜日休館反対者ほど,熱

烈ではない。熱烈なのは,牧師くらいのものであろう。

(4)実際に調査して考えさせられたことは,猛烈な反対

者とともに図書館の発展策を講じなければならない,と

いうことであった。そのためには,やはり一つには学校

図書館との不断の話合いを盛り上げていって,学校図書

館を完全に学生及び生徒のものとして,日曜日も運営で

きるように,育てあげることであり,二つにはそういう

育てあげの仕事とともに,県立図書館が学生生徒から重

点を一般人に切りかえていく努力と研究とがもっともっ

と望まれるようである。

 なお,昨年暮,市内中・高校長とも話合いをもった結果

 1) 県立図書館の日曜休館にはあえて反対は出来ない

 2) 中・高校図書館の日曜開館は行われ難い。

(5)かっての図書館協議会委員の一人が,「一般人に重

点を移した場合の館内施設の利用法,館外貸出の計画

表,及び図書館資料の構成に関するプラン等」を積極的

に県立図書館がうち出して,その上での日曜日休館をP

Rしなければ意味がないではないか,といっていた。や

はり耳をかたむけていいことである。

(6)猛烈に反対する人の根拠は,「日本の社会は,子ど

もに自分の書斎などを与えられないのが現状だ」 「それ

を知っていて,日曜日を休館するというのは後向きの姿

勢じゃないか」「むしろ逆に図書館を大きくしていく方

向を望む。そのためになら微力ではあるが協力したい」

というようなことであった。

(7)結論としては,「数字は休館にしてもよいように出

たが,しかしやっぱり強烈な少数者の意見にも迷わざる

を得ない」ということである。

  2 館内奉仕

 新館舎に移って約一力年を経過したが,その間,どの

ように利用され,どんな成果をおさめたか,また,新館

舎の機能は遺憾なく発揮できたか,それぞれの立場と角

度から検討を加え,これを評価し,それにもとづいた対

策をたてて,今後の発展を期したい。

A 新館舎に移ってから利用人員はどう変ったか

 施設,環境が一変したために,利用者は急激に増加し

たが,依然として学生,生徒が圧倒的に多い。利用者総

数の70%が学生,生徒によって占められている。そこ

で,新館舎と,旧館舎時代の利用人員を比較してみる

と, (両年度の4月〜9月まで)新館舎の利用人員は,

約2倍の増加を示しているが,一般成人と学生,生徒の

増加した割合は,学生・生徒の2倍〜3倍に対し,一般

成人は,1.5倍前後に過ぎない。この増加率は公共図書

館の性格上,望ましくないので,なんらかの対策を考え

る必要がある。

B どんな人々によって利用されているか

 公共図書館の利用者の対象は,一般成人に求めること

は当然であるが,現実には,学生,生徒によってその大

半を占められているのが実情である。 そこで, この学

生,生徒を除いた利用者を職業別にわけてみた場合はど

うか。まず第一位が無職(主婦をふくむ。)次がその他の

職業,官公吏,銀行会社の順で,最下位が農業である。

無職が第一位にあることは,大学受験準備中の浪人が,

大多数を占めているからである。この浪人は毎年増加す

る一方で,特に今年度あたりは,中学校を卒業した高校

受験準備中の浪人が,目立って多くなっている。農業の

最下位については,館舎の所在地が,市の中心附近にあ

るため,距離的にみて農村からの利用は望めないので,

館外奉仕の分野において,貸出文庫の利用をすすめてい

る。

C どのくらいの本が利用され、とんな内容のものが、

 多く読まれるか

 利用人員の増加にともない,利用図書数も約12,600冊


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