教育年報1960年(S35)-046/135page
に数学科の指導を行なうかについてのべている。
只見中学校,渡辺一郎教諭から,小地域における小・
中学校の学力の関連について,中学1年生の生徒に対し
て学力調査を行ない,各分校ごとの学力,知能と学力の
関係をいろいろな調査から明らかにしている。この会場
は,今年度の3つの会場のうち,全体的にみて最も充実
していた。
b,中通り方部
(1)会場 田村郡船引町中山小学校
同 移中学校
(2)研究主題
小規模学校における学力向上をはかるために,学習指
導はどのようにすればよいか。
◎国語,算数(数学)の指導をどのようにすればよいか
という研究主題を中心にして1カ年間研究を続けた。そ
の結果について発表された。
(3)研究発表の実際
船引中学校加藤邦明教諭は,視聴覚,施設,設備の活
用について自作掛図のあり方とその活用,映画の利用,
ラジオ,テレビの利用等について実践の結果を具体的に
発表された。なお,この会場における3つの分科会にお
ける研究発表は次の通りである。
◎第1分科会
視聴覚教具の活用
安達郡白岩小学校稲沢分校 坂本富雄
西白河郡小田倉小学校台上分校 熊谷一男
◎第2分科会
山村における国語の学力を向上させるためにどのよう
にすればよいか,を中心的な研究題目として取りくまれ
た。即ち,
山村における生活指導と学習指導の結びつきについて
安積郡湖南村月形小学校舟津分校 先崎泰
複式学級における国語科指導について
東白川郡鮫川村青生野中学校 藤田佳男
ひらがなの読みの指導をこのようにした。
東白川郡古殿町論田小学校 鈴木綾子
この分科会の研究発表も,山村の子どもの国語の学力
を調査しながら,語いの調査,発音の矯正など具体的に
児童のつまずきをとらえて指導している。
◎第3分科会
山村における算数,数学の学力を向上させるには,ど
うすればよいか,を中心的な研究題目として研究を発表
している。即ち,
1,2学年における算数科指導の実際について
田村郡三春町要田小学校 大竹茂義
複式学級における算数の導入について
福島市山内小学校 赤間セツ
複式学級における自主的学習の系統的指導について
須賀川市小塩江小学校東山分校 関口孝照
この分科会の発表で,赤間セツ教諭が自分の学級にお
ける複式指導の実際を録音テープにおさめて,それを持
参して,研究を発表しておられたが,まことにすばらし
い着想であった。なお,この会場における全体会のパネ
ル討議の中で,婦人代表の方が母として,子どもの家庭
学習をどのように見てやっているかという体験談を発表
しておられたが多くの人に深い感銘を与えた。
c,浜通り方部(伊達を含む)
(1)会場 相馬市山上小学校予井塚分校(第1日)
相馬市原釜青年の家 (第2日)
(2)研究主題
小規模学校における学力向上をはかるために,学習指
導はどのようにすればよいか。
◎国語科の授業で複式の指導は,どのようにすればよい
か。
◎社会科の授業で複式の指導は,どのようにすればよい
か。
◎農山村の児童,生徒の生活指導をでどのようにすれば
よいか。
(3)研究発表の実際
中井塚分校というのは,おかれている地域はバス道路
の沿線にあって交通の便がきわめてよろしいが児童の家
庭の経済状況は悪く,親の教育的関心はまことに薄い。
したがって子どもの学力も低い。 そうした条件のなか
で,どのようにして学力を高めるかという苦心を重ねて
いる。このことについて山上小学校石橋仁校長が,学力
の低い原因を調査し,それに対してとった向上の対策は
まことに適切で追力のあった発表であった。この会場に
おける研究発表の大要は次のとおりである。
◎第1分科会
3,4学年における読解指導について
相馬市山上小学校中井塚分校 渡辺堅次
複式学級における国語指導について
伊達郡霊山町石田小学校坂上分校 馬場善正
山村における児童の入門期の読書指導について
石城郡入遠野小学校 大内好茂
この分科会で渡辺堅次氏の研究は,3,4学年の児童
に同一教材を使って指導を加えているのが多少問題点も
あったが,複式指導の手はじめの方法として適切な方法
であろう。しかし,これを土台にして同題材指導のご研
究をさらにいっそう望むものである。
◎第2分科会
じょうぶなからだの導入指導はどうずればよいか。
相馬市山上小学校 鈴木澄男
社会科の基礎学力をつけるにはどうすればよいか。
石城郡三和村沢渡小学校 佐藤吉男
複式学級における社会科指導上の問題点
双葉郡熊町小学校夫沢分校 大川原洋吉
◎第3分科会
学力向上のための配慮
相馬市山上小学校中井塚分校 渡辺ひとし
山村における生活指導について
伊達郡山船生小学校 今野博一
分校における生活指導について
双葉郡双葉北小学校寺沢分校 栃沢己知夫
これらについて,3つの分科会に別れて研究を発表し